愛をください。2 (ページ29)

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69.ただの偶然ページ29

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バカらしい

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自分の幸せを見せつけて

周りが喜ぶとでも思ってるの？

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喜んでくれるのなんて

ただの見せかけでしか

ないのに

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葉書にサラリと目を通して

テーブルの上に無造作に放った

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他人の幸せが

みんな

みんな

不愉快に思えて仕方ない

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周りが幸せなほど

自分が不幸な気がして

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あんな思いまでして

私は

自分のプライドを維持しようとしているなんて

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端から見たら

滑稽なだけなのかも知れないのに

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潤「姉ちゃんだって、アイツと付き合ってそれぐらいになるんじゃね？」

A「あ～～～……そう、かも。」

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そう言えば

この友人の結婚式で

雅紀と出会ったんだ……

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テーブルに放った葉書を

もう一度手にして見直す

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この友人の結婚記念日が

私たちの出会った記念日

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印刷された日付を指でなぞって

数日前に思いを馳せる

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まさか

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あの場所までドライブしようと言い出したのも

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まさか

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冷蔵庫に置かれたケーキも

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この日のため………？

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違う

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ただの

偶然

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現に雅紀はそんなこと

一言も………

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そんな素振りさえも

見せていない

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記念日……なんて

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覚えてるとも思えない

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出会ってしばらくの間は

大切にしていた二人の記念日

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毎月その日だけは

雅紀は私だけのものだった

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人のものだった雅紀

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それを奪ったのは私

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自分の幸せのためなら

手段だって

選ばない

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