No.24 助け出す ページ25
「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が、経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれれば、その場で将来が決まるわけだ。
年に一回...計三回だけのチャンス。ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ！」
相澤さんがそう告げると、表情を引き締める者、不敵に笑う者、いつもと大して変わらぬ者.....それぞれだ。
当然、獲るのはトップ、一位だ。そして、世間に思い知らせる。
時は過ぎ、昼休み。しょうが一緒に食べよう、と誘ってくれたので、それにのることにした。会話をしながら、食堂へ向かう。
「もう動いて大丈夫なのか？」
『ん？大丈夫！』
「.....その、悪かった。側にいられなくて、助けられなくて」
『大丈夫だって！これは私の責任。しょうは全然悪くないよ、気にしないで！』
食堂につき、列に並ぶ。相変わらず人が多いなぁ.....まぁ、雄英の全学年、全学科が来るからなあ。と、考えていると、後ろのほうにお茶子ちゃんと飯田君がいた。すると一瞬、しょうが何かに反応した。
『しょう？どうかした？』
「.....いや、何でもねぇ。それより、全部俺が持って行く。席取っといてくれ。俺と一緒で良かったよな」
『ん、了解。ありがと！』
上手く話を逸らされた。が、心配してくれたようで、復帰した直後だった為に気を使ってくれた。なのでそれに従った。
「ありがとな。ほら、蕎麦」
『いーえ！こっちこそありがと』
暫くして、両手に蕎麦を持ったしょうがやってきた。それを受け取り、食べる。
『美味しいね』
「あぁ。.....体育祭、トップ狙ってるよな」
『ん？勿論』
「.....お前にも、絶対勝つ。前みてぇにはいかせねぇ」
『上等、受けて立つ！』
お前に勝つ。そう言った時のしょうの顔は、いつもと違い、色々な感情が混ざった表情だった。
憎悪、恨み、怒り.....まるで、目の前を見ていないようなものだった。
彼も、私と離れた時間に色々とあったのだろう。その証に、私の記憶の中にある幼い彼は、火傷跡などなかった。大体、彼の父親.....エンデヴァーあたりが何かをしたのだろう。当時の私は、幼すぎた為によく分からなかったが、今なら良く分かる。
取り敢えず今は、彼から話してくれることを待とう。無闇に聞き出すのは、かえって良くないかもしれない。
望まれてないかもしれない、余計なお世話かもしれない。でも、必ず助け出す。
手の届く範囲にあるものを、もう失ったりはしたくないから。
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作者名：ミカ | 作成日時：2018年2月15日 7時
