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「ハァハァ…」
相良くんは荒い息をしながら、なにも言わない。
だから、私も何も聞かない。
話したくなったら、話せばいい。
私に今出来る事は。
抱きしめてあげる事だけだった。
小さい時、お母さんにしてもらえなかっただろう分、私がたくさん抱きしめてあげよう。
相良くんは、手をだらりと下げたまま。私を抱きしめ返しては、くれない。
でも、しばらくすると。
「ハァ…」
ため息と共に。
私の肩に、ゆっくりと頭をのせた。
ふわっといい香りがした。
私は片手でゆっくりと、相良くんの頭を撫でてから、背中をさすってあげる。
キレられるかと思ったけれど、意外と大人しくしている。もう疲れ切っていて、抵抗する余力もないのかもしれない。
しばらくすると落ち着いたみたいで。
普段の姿からは想像出来ないくらい、静かな声で。
「…なぁ、A。」
相良くんから、話しかけて来た。
「…なあに?」
私は、出来るだけ優しい声で返事する。
「…俺さぁ、出来なかったんだ。」
「なにが?」
「…三橋と伊藤をよぉ…ダメだった。」
三橋と伊藤が誰かはわからないけれど。その子達と喧嘩して、負けたのかなぁ。
「…そっか。」
「…下っ端に示しつかねぇよな…。まずいよなぁ。」
「…そうかなぁ。」
「…ああ。情けねぇよ。」
「大変だったね。」
「ああ…。」
私は、相良くんの背中を、優しく撫で続けた。
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ahirusansan - シオンさん» いつも見てくださって、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年1月7日 15時) (レス) id: 7544d346f2 (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - ahirusansanさん» 頑張ってください! (2019年1月7日 6時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 元キャバ嬢で先生って設定初めて見ました!話もとても面白くていつも見てます!これからも更新頑張ってください! (2019年1月6日 21時) (レス) id: 5b3c942593 (このIDを非表示/違反報告)
ahirusansan - クソすぎる駄作者さん» ありがとうございます!更新遅めでごめんなさい!37あたりに付け足し入れました〜 これからも頑張ります! (2019年1月6日 18時) (レス) id: 7544d346f2 (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - 設定やストーリーが色っぽい…wめっっっっちゃワクワクしながら見てます! (2019年1月5日 2時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ahirusansan | 作成日時:2018年12月13日 0時