第34話 英雄の本領 ページ36
ザンッ!
ウル:「っ!?ぐああっ!」
地に落ちた、今まで自分の首を掴んで離さなかったウルノーガの片手。
そして気がつけば、自分は漆黒のデルカダールの鎧を見に纏ったグレイグに片手で軽々と
抱きすくめられた状態。
突然圧迫されていた気道を解放されたことと
何故かグレイグに抱きかかえられている、という
状況にシアンは思わずむせ返るように咳き込んだ。
「っ!?…ごほっ!けほっ、けほっ………」
グレ:「しっかりしろ」
グレイグは何とか立ち上がったシアンの
ふらつく肩を抱いて彼女の乱れた呼吸が整うのを待った。
片手を失い、その激痛に耐えながらもウルノーガはグレイグとシアンの2人にドルクマの呪文を詠唱する。
それを逸早く感じ取ったのはシアン。
彼女は呼吸が整うのも待たず、呪文を詠唱し始める。
「はあっ、はぁ……デイン…!」
バチバチバチッ!
闇の攻撃呪文であるドルクマは光のデインによって相殺された。
どうやら今だに肩で息をしているこの若き勇者
のおかげらしい。
グレイグは何とか1人でも立っていられるように
なった隣の彼女を見下ろした。
グレ:「すまない、助かった」
「はぁ………こちらこそ、さっきはどうも」
ありがとう、そう小さく彼女は感謝の言葉を
述べると、ちょうど足元に落ちていた勇者の剣を
拾い上げ、彼女独特の型で構えた。
カミュ:「おいっ!シアン、お前大丈夫なのか!?」
シル:「シアンちゃん!!無事!?」
「あー、無事無事。ごめんね皆、心配かけて。
…そうだ、ベロニカ。私にバイキルトお願いできる?」
ベロ:「……別にいいけど、無茶はするんじゃないわよ!」
「うん………任せて」
ベロニカの唱えたバイキルトによって攻撃力に更に磨きのかかったシアンはようやく息を乱してきたウルノーガを見据える。
グレ:「……二刀でなくてよいのか?」
「ん?…ああ、まぁ。これだけでも…
たぶん十分だよ」
彼女は先程唱えたデインの光の魔力を勇者の剣
に纏わせ……光り輝く雷の刃を創り出す。
バチバチバチッ!…………ザンッ!!
気づいた時には彼女はウルノーガの背後で
横一線に剣を振るったかたちで止まっている。
そして、おそらく自分に向かってきた彼女に
対抗すべく、杖を振り上げたのだろう。
その体勢のままウルノーガは固まったように
動かない。
否────動けない。
「……ギガスラッシュ」
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時