第24話 不器用な彼 ページ26
グレイグはシアンをただ黙って暫く見つめる。そんな険しい顔をして黙りこくった彼に
シアンは何となく、身構えずにはいられなかった。
グレ:「その…………肩の傷は大丈夫なのか?」
「あー…どうもすみません、やっぱりこんな夜中に迷惑でしたよね……………………って…はい?」
予想していたものと全く検討違いなことを問われたシアンは思わず聞き返す。
グレ:「…………命の大樹にて貫かれた右肩の傷…
もう、大丈夫なのか…?」
「え…ああ、もうほとんど大丈夫です。
私の仲間には回復呪文に長けた人がそれなりにいますから、助かりました。
まぁ、傷痕は…消えないかもしれませんけど…
それも慣れているので」
グレ:「………………そうか」
グレイグはそう短い言葉を返して、もう一度黙りこくる。が、暫くして呟くようにこう言った。
グレ:「……………すまなかった」
「……どうやら、酷く迷い、戸惑っているようですね、英雄殿」
何にも例え難い、そんな沢山の感情を織り交ぜた
顔をして謝罪の言葉を漏らした彼にシアンは
目を細めて見せる。
「…時に人は、どんなに堅く誓った忠誠をもって
しても……どんなに長い時間培ってきた友情を持ってしても……誰かを疑ってしまうことは多々あります。是非ともこの機会に存分に迷い、悩み…
改めて貴方の忠誠を誓った王をもう一度だけ
思い出して見てください。もう一度だけ…
かつての友を思い出してください。
……貴方にも見えてくるはずです。貴方の迷いと
疑いの真実が」
シアンはそう言うと、グレイグの鋭い双眸を
真っ直ぐに捉え、凛とした声を放った。
「さすれば、このシアン。
………貴方のどんな迷いの霧をも打ち払って
見せましょう」
グレ:「!……何故…」
グレイグはシアンの言葉に思いがけず
何故、と小さく漏らすが、すぐに言葉を詰まらす。
…本当に、不器用な男だ。この英雄は。
シアンはそんな彼の様子に密かに小さく笑みを零した。
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時