第11話 少女の祈り ページ13
……閉じられた瞼越しに眩しい光を感じた｡
頬にあたるは柔らかなそよ風｡
鼻孔をくすぐるのはほのかな若草の香り｡
シアンはゆっくりと瞼を持ち上げその瞳を露にする｡
真っ先に見えたのは広く雄大な青い大空｡
遠くには伸び伸びと葉と枝を広げてそよぐ
命の大樹｡
小鳥たちは可愛らしくさえずり､横を向けば
どうやら自分は草むらの中に寝転がっていたらしい｡
シアンはゆっくりとその場で起きて､立ち上がる｡
ふと瞳の端に溜まっていた水滴が流れ､それを拭う｡
｢景色から見て……ここはゼーランダ山…か｣
ふと背後で禍々しいオーラを感じ､振り向くと
そこに地面に突き立てられた魔王の剣があった｡
それを引き抜き､シアンは背中へと背負う｡
とりあえず､聖地ラムダへ向かうかとシアンは歩を進めた｡
ベロニカとセーニャの故郷である聖地ラムダは
命の大樹が落ちたあの日､距離が近いこともあって多大な被害を受けていた｡
多くの建物は半壊､全壊し激しい熱風に煽られ
多くの人が尊い命を落とした｡
しかし目の前に広がるのは懐かしくも威厳に溢れたかつて見た聖地ラムダ｡
……ほんとうに､過去に戻ってきたんだ…｡
シアンは今だ夢見心地な…虚ろな気分で
いつの間にやらラムダの再奥にある大聖堂へと
来ていた｡
それとなく中に入ってみると聖堂の内部は薄暗く､中央に光が差しているように見えた｡
そこには地に跪き､両手を胸の前で握って
祈りを捧げる………1人の赤い服を纏った少女｡
思いがけず､シアンはその場に固まって
その光景に魅入った｡
｢セニカさま……｡いよいよあたしたちの使命を
果たすべき時がやってきました｡
これから集めたオーブを携え､悪を払うチカラが眠る命の大樹へと勇者シアンを導きます｡
大樹は選ばれた者だけが入れる未開の地｡
その先に何が待ち受けているのか…行ってみないとわかりません｡でも……｣
少女は立ち上がり､両手を大きく広げて
天を仰ぐ｡
｢たとえどんな災難が起きたって､あたしが
必ずシアンをこの手で守ってみせます｡
シアンはあたしたちの希望の光……｡
その光がある限り､世界は闇に染まらない…｡
あたし､そう信じてますから!｣
この声｡
あの金糸のようなお下げ髪｡
間違いない｡
あの子は────ベロニカ｡
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (
レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています！頑張って下さい！！ (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると､とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです！更新待っています（*^_^*） (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りまるま | 作成日時：2017年8月27日 10時
