力になれない ページ20
「雑渡様は」
「毒をまともに喰らったのだ」
高坂様はくそ、と膝の上にある手が白く見えるまで握り締める。
その表情を見ると胸が詰まり狭い箱の中に閉じ込められた様な不安が押し寄せてきた。
ぐ……、と心臓を握り締められるような感覚はあまり気持ちの良いものではない。
ちらりと布団に横たわる雑渡様を見ると表情は変わらずとも尋常ではない汗をかいて敷布団を握り、私にさえ只事で無いことは感じとれた。
時々胃に何か無くてももどってくるようで口に手を覆うことがあり、その度に自分に魔術でも使えればと思わずにいられなかった。
「……高坂様は、お休みにならなくても宜しいのですか？」
「こんなときに寝ていられるか。組頭は……！」
まるで好きなおもちゃを取り上げられたときの子供のような怨みに似た敵意剥き出しの顔をする。そこだけでもどれだけ雑渡様が慕われているかはよく分かった。
はっ、としたかと思うとすぐにもとの大人び顔に戻りすまないと小さく漏らした。
解毒などはと問おうとした瞬間だった。
首筋辺りにひゅん、と音がし何事かと振り返るとぬる…と伝うものがある。
じくじくと痛むその首を撫で何が起きているかは嫌でも頭に叩き込まれ同時に怖いほどの冷静さがあった。
「誰だ！」
闇に向かい声を荒げる高坂様。
相手は音もなく現れると横たわる雑渡様を一瞥し、口角を上げた。
「何の用だ」
「お前に用はない。あるのは其処の包帯野郎にだ」
この人がここにいる意味も何と無くは分かっていても頭が処理しきれておらず何で何でと混乱して空中を眺めている私のもともと暗かった視界が完全に闇になる。
それと同時に軟骨の匂いと少しゴツゴツとした男の人の手に顔が覆われた。
「私も君に用はないね」
「組頭……！」
「毒にやられているクセにやけに威張るじゃないか。その体で何が出来る」
「どうせ私が毒にかかって今だと攻めてきたんだろうけど、そんな時こそ警戒するのは当たり前だろう」
そして雑渡様は「なあ、凄腕忍者」と付け足した。
「やれるものならやってご覧」
雑渡様の言葉で弾ける様に戦闘が始まった。高坂様は邪魔だ、というように端にいろと言い、私は従う。
雑渡様も参加するのだがやはり体が重く顔を歪めている。
このままでは……本当にーー
そうしていると雑渡様がゔっ、と咳き込み始め益々相手の有利になる。
ついには力がふっ、と抜け狭い部屋の中で距離をとり崩れ落ちてしまった。
「どうってことは無かったな」
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カナリア(プロフ) - 続き楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2015年5月31日 20時) (
レス) id: 1223570c56 (このIDを非表示/違反報告)
文月 八重(プロフ) - ハイキュー，研磨ＬＯＶＥ☆《*≧∀≦》さん» ありがとうございます！頑張ります（≧∇≦） (2014年12月31日 8時) (レス) id: 4533d9e5f0 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー，研磨ＬＯＶＥ☆《*≧∀≦》 - 面白い！( ☆∀☆)ｷﾀｰ続き楽しみにしてます！(*￣∇￣)ノﾜｸﾜｸ (2014年12月31日 1時) (レス) id: 7f5409c857 (このIDを非表示/違反報告)
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