雨曇 −あまぐもり− ページ13
side 樹
それから北斗とは、こまめに連絡を取るようになった。
大我くんが入院している間、北斗がちゃんとご飯を食べられているのか、眠れているのか、心配だった。
…でもそれだけじゃない。
俺はきっと、彼の心の内をもっと知りたくなっている。
〜♪
日曜の昼前、彼から初めての着信があった。
「───もしもし？」
「ぁ、樹。北斗です」
「分かってるよ、笑
どうしたの」
北斗から聞かされたのは、大我くんが今日の午後退院する、という内容だった。
「…それで、樹、車持ってるって言ってたよね、」
「うん、持ってる。迎えいこうか？」
そう訊くと北斗は「ごめん」と謝って。
「一人で行こうと思ってたんだ、
でも俺また、大我のこと……っ、だから、」
「北斗、謝ることじゃないよ。
それに俺、嬉しいよ？頼ってくれて」
すぐに車のキーを持って、家を出た。
北斗もすぐに病院へ向かうと言うから、できるだけ急ごうとアクセルを踏む。
だけど切り際に彼が呟いた「気をつけて来て」の言葉が妙に耳に残って、ハンドルを握りながらひとつ深呼吸をした。
「パパぁ…」
病室に着くなり、北斗は大我くんを強く抱きしめて。
何度も何度も、謝っていた。
「ごめんね、大我…パパのせいで…こんな傷っ、
ほんとうにごめん……っ、」
「パパ、くるちぃ」
「んっ…」
ベッドの上で大我くんは、困ったように眉を下げている。
その右腕には、痛々しく包帯が巻かれてあった。
「…大我、帰ろう。っ、車椅子移るよ、」
大事そうに大我くんを抱っこして、
北斗はそっと車椅子に乗っけた。
大我くんのくりくりした瞳が俺を捉えると、
ぴっと指を指された。
「パパ、あれだぁれ？」
「あぁ、…大我がこの怪我した時に、助けてくれたんだよ。この人がいなかったら、大我もパパもどうなってたか…」
北斗はまた表情を暗くする。
偶然に通りかかったとはいえ、2人を助けてあげられて良かった、そう思った。
「今日は車で、家まで送って行ってもらうの。
パパと2人でありがとうって言おう。樹くん、だよ」
「じゅり、、」
「ふふ、可愛い。
大我くん、こんにちは、樹です」
しゃがんで、大我くんの高さに合わせる。
大きな瞳は、戸惑いがちに俺を見つめた。
「…こにちは、ありがとぉ」
「ん。よく言えたね。
パパからも、樹ありがとう」
「いいえ、どういたしまして。
…行こっか、入口に近いところに停めてある」
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あーちゃん(プロフ) - ただの阿部担さん» 代表して私から返信させていただきます！！最後までご愛読いただきありがとうございました(^^*)永く愛していただけると嬉しいです！ありがとうございました！ (2021年5月14日 21時) (
レス) id: 12865d1db9 (このIDを非表示/違反報告)
ただの阿部担(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新通知が届くたび跳び跳ねて喜ぶほど楽しみに読んでいました。完結されるのはとても寂しいですが、また読みに来ようと思います。最後に、こんな神作品を書いてくださりありがとうございました！ (2021年5月14日 18時) (レス) id: 341728400e (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - まりもさん» コメントありがとうございます！ほぼ毎日更新ですので、ぜひ完結までお付き合いよろしくお願いします(^^) (2021年5月5日 20時) (レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - 早く続きが読みたい〜 (2021年5月5日 20時) (レス) id: 70b03b37e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴とあーちゃん
x他1人 | 作成日時：2021年4月24日 1時
