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二百一 ページ39

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私は銀時に横抱きにされ、廃屋から少し離れた場所にある川辺に来た



『ゲホゲホッ...』


銀「A、大丈夫か」



銀時は私を木に寄りかからせると
自分の着物を少し破いてその切れ端を川で濡らし、私の口や手についた血を拭き取った



『銀時ごめんね...』


銀「気にすんな」



銀時は私を落ち着かせるように優しく抱きしめると
松陽がいつも私にやってくれていたようにずっと頭を撫でてくれた


ゆっくり深呼吸をし
気持ちを落ち着かせる


すると次第に咳は収まった



銀「落ち着いたな」


『うん、ありがとう』



手に持っていた血塗れの布を捨て
私は銀時をギュッと抱きしめた



『ねぇ銀時...』


銀「どうした」


『彼等には...何もかも見透かされているようだった...』


『甘かった...彼等を甘く見すぎていた...』



またあの時の記憶が蘇る
良いように誘い込まれ騙された幼い時のあの記憶が...



『事が思うように進みすぎていて恐いの...』


『また騙されているんじゃないかって思うと不安で仕方がないの...』


『銀時...私は銀時みたいに強くないから...』



私の弱点は過去の辛い記憶
少しでも掘り起こされそうになるだけで恐怖で怯え、動けなくなってしまう...


過去の記憶なんて忘れたい


けれど一度刻み込まれた辛い過去や記憶は一生忘れる事ができない...



『もっと強くなりたい...』



私がもっと強い人間だったら
皆が心配する事なんて、皆を心配させる事なんてなかったのに...



銀「強くなくたって良いんだよ」


『えっ』


銀「お前はお人好しなんだよ、周りを気にし過ぎて自分の事なんざ後回しだ」


『だって...皆の方が大切だから...』


銀「だから自分の事に気付けねェんだろ」



図星...


何も言い返せない
皆の事を第一に考え過ぎて自分の事なんて放っておいたから自分自身がわからないんだ...



銀「少しは周りの奴等を頼れ、何でもひとりで背負い込むな」


銀「良いな?」


『うん...』



それが私の悪いクセか...
良い場合と悪い場合があるけれどうまく使い分ける必要があるなぁ



銀「もう戻るか」



銀時は立ち上がった
嫌...もう少しこのままでいたい...



『まだ...あと少しだけここにいよう...?』



私は銀時の手を掴んで引き止めた



銀「珍しいな、そんなに甘えたいのか」


『今日だけ...』


『今日だけだから...』



私は銀時に抱きついた


今だけは...甘えさせて...


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設定タグ:銀魂 , 松下村塾 , シリアス   
作品ジャンル:アニメ
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透明哀歌 - この小説、本当に大好きです!更新頑張ってください!! (2019年4月3日 2時) (レス) id: 2a668a49bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:外夢 | 作成日時:2019年3月27日 19時

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