BLACK TrackONE【4】 (ページ30)

今日:49 hit、昨日:89 hit、合計:326,230 hit

_※ ページ30

Side BLACK

それでも俺は自分で頑張って遅れないように勉強して必死で追い付いてるのに。

……それが、他の生徒にとっては
気に食わないみたいだけど。

「アイツまじこえぇよな…
でも北斗、体調良いときは授業出といたほうがいいぞ？もっと遅れが出たら追いつけなくなる」

優吾が言うことは最もだ。

今度は、キリキリとチクチクが同時に広範囲に襲ってくる。

「っ、……冗談、だよ、」

弱い体が嫌になる。

「ふふふ、やったー！北斗と一緒に行ける！」

「ほんとやっとだよ！」

喜ぶ弟たち。
元気になったことに安堵したような兄貴たち。

その顔を見たら、もう“行きたくない”なんて言えなかった。

「北斗、ほんとに体調平気なの？
少し顔色悪い気がするけど。」

「ううん、…平気だよ」

「…じゃ、後でな～」

隣の教室へと入っていく樹に手を振り返して、
久しぶりにクラスメイトたちの視線を浴びる。

「……っ、」

つー、と冷や汗が背中を伝う感覚が気持ち悪い。
昨日まではなかったはずの腹痛がまたぶり返す。

体調悪いとか云々ではなく、

何より、心が痛かった。

＿＿＿＿

「具合悪い？最近、どんどん痩せていってるよ」

学校に行き始めて数日。
戻らないどころか全く食べる気になれない。
ずっと胃がムカムカして気持ち悪いし、

……昼休みなんか、学校に居るだけで息苦しくて

何度も、何度も吐いてしまう。

…優吾の優しい声に甘えたくなる。

「…あぁ、…うん、…大丈夫。
…あの、ちょっと…トイレ」

今日は飛び切り強い痛みと
胃がひっくり返るような感覚。

「え、ちょ、北斗、大丈夫！？」

バタバタと追いかけられる音も構わずにトイレに駆け込む。
ドアを閉める余裕も無く、水面に顔を突っ込む勢いで便器に向かった。

「うっ、……おえっ、ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ！…ﾊｧｯ…はぁ、」

「ほくとっ、大丈夫か！？」

優吾が背中を擦ってくれるが、嘔吐が止まらない。
ほとんど食べてないからすぐに胃液に変わって口の中が酸っぱい。

「はぁっ、……ぅ、……ぃっ、てぇ…
…おえっ！……はぁっ、ﾊｧｯ……うぅ、ぁ、」

ギューッと絞られるような痛みが襲い、
その度に嘔吐いてしまう。

「北斗、水分取ったほうがいいよ」

「これ肩にかけてな。」

慎太郎がコップに水を入れて持ってきてくれた。
それも常温の。気が利くな。
ジェシーは小さなブランケットを持ってきてくれた。