橙色のカーネーションに誘われて【スタマイ】

「ひとりにしてと微笑う彼女の」２ ページ49

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春「Aちゃん」


隣の席から名前を呼ぶと、肩がびくっと震えた。


A「な、なに…」

春「はあ、別に。樹さんに喧嘩してると思われて面倒だから職場では表面上仲良いフリ、しておこうかなって」

A「うん、そう…だね」


なんなの、俺の声に怯えて。
怖いものを見るような目で俺を見て。


それもこれも全部俺が蒔いた種だ。




ホテルに戻って、事の発端は多分俺。
些細なことで言い合いになって、その時異様にむしゃくしゃしてて、アスピロンを乞う俺に依然としてあの決意は揺るがず、彼女は首を縦に振らない。

つい手をあげそうになってしまった。



A「……ッ！」


その時の強い眼差しと、怯えた瞳。



本意でない関係なんだから当然の反応であるのに、
付き合ってる俺に対して怯えた瞳をみせることにイライラは加速してもうどうしていいかわからなかった。


春「…ッ、」

A「は、るくん…」


だけど、Aの手はそっと俺にのびてきて、そのままぎゅっと抱き締められた。



A「…大丈夫、大丈夫だよ」

春「……ひとりに、して」



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