「痛いほどに、愛してる」2 ページ31
*
関さんに頼まれ、警視庁に資料を届けに行った。
心なしかいつもより視線を多く感じた。
A「…失礼しまーす、厚労省麻薬取締部の泉です」
捜査一課に入ると、あの違和感は確信に変わり、一気に視線が向けられた。
A「あ、えと、服部さんに、お届け物を…、」
向けられた視線に動揺する。
いつもと違うその違和感の正体が謎のまま、逃げるように目線で服部班の席の方に視線を移す。
えっと…、朝霧さんと荒木田さんがいる。
妙に鳴り響くヒールの音を出来るだけ立てまいと、奥に進む。
顔を上げるのがなんとなく恐ろしくて俯きながら歩いていると、ぼふっと何かにぶつかってしまった。
A「んぐっ、」
服部「おっと。マトリちゃん、前見えなくなっちゃったの?」
A「は、服部さん…っ、す、すみません…!」
服部「全く。自分の体くらい大事にしなさい。」
A「あ、はい。えっと、これ、関さんからです」
資料を渡すと、頭にぽんっと手を置いて「ご苦労さん」と微笑んだ。
A「(あれ、なんか、優しい…)」
服部「なあに、その目は。」
A「い、いえっ、」
服部「そんで、どうなの?調子は。ヒールなんか履いちゃって。マトリちゃんだけの体じゃないんだから。」
A「元気です、ピンピンしてます」
ってあれ…?
私だけの体じゃない…?
――2か月前、体調が芳しくなく産婦人科を受診したら、10週目だと言われた。
それから、2か月。安定期に入ったばかり。捜査企画課へ報告はもちろんのこと、捜査一課(もとい服部班)への報告もまだしていないはずだった。
ハルくんが勝手に言うはずもない。
A「つかぬ事お聞きしますが…、なんのお話でしょうか?」
少し曖昧にとぼけてみる。
服部「そう聞くって事は何か思い当たることでも?」
A「いえ、そういうわけでは…」
服部さんの情報収集能力は底知れず。
いつどこで情報を仕入れていてもなんら不思議はないけれど。
でも…、
その時、一課内に「お疲れ様でーす♪」という、元気な声が響き渡った。
菅野「あ、A。お疲れ!来てたんだ?」
A「うん。関さんからのお使いで。」
その時、バチっと服部さんと目が合う。
A「(…あ、もしかして…。)」
.
.
「痛いほどに、愛してる」3→←「痛いほどに、愛してる」/ 夏目春◆
84人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水無月のぞみ - ヒロインの名前が、たまに『玲』になってるから直して下さい。変えられないと夢小説じゃないからね。 (2022年3月14日 5時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
鮎川あぐり(プロフ) - アニメLOVEさん» こんにちは。かしこまりました♪ (2020年9月27日 17時) (レス) id: 0e01340885 (このIDを非表示/違反報告)
アニメLOVE(プロフ) - リクエストで、槙くんと子育てお願いします。子供は二人で (2020年9月27日 10時) (レス) id: 5ecae8dc9e (このIDを非表示/違反報告)
鮎川あぐり(プロフ) - アニメLOVEさん» 槙くん、かしこまりました♪ (2020年9月19日 9時) (レス) id: 0e01340885 (このIDを非表示/違反報告)
アニメLOVE(プロフ) - リクエストで、槙くんとラブラブしてほしいです!出来たらでいいのでよろしくお願いします (2020年9月19日 2時) (レス) id: 5ecae8dc9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鮎川あぐり x他1人 | 作成日時:2020年5月12日 2時