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マナ「仕事終わりました」

アオキ「お疲れ様です」

「お疲れ様です…」

アオキ「すみません…困惑させてしまいまして…」



私達がいる場所から10メートルほど。

会社前に置かれたベンチに座る男性。

間違いなくグルーシャさん本人だ。

実物の彼はテレビで見た姿とあまり変わらない。



マナ「先に聞きたいんですけど…どうしてこうなったんですか?」

アオキ「すみません…自分の嘘を見破られてしまいまして…」

マナ「年下云々の話をしたんですか?」

アオキ「いえ…Aさんから話す許可を頂いていませんので…」

「嘘がバレて…面倒臭いと思わせる作戦はどうなったんですか…?」

アオキ「言いました。面識ない方と間接的に連絡先は交換できないと…」

マナ「そしたら?」

アオキ「なら行くと…」



内心「マジかよ…」と思いながらグルーシャさんに視線を移す。

すると顔を上げたグルーシャさんと目が合い、再び視線を戻す。



マナ「事前に来ると言うべきですよ…アポ無しはちょっと…」

アオキ「グルーシャさんはそう言いました。アポを取った方がいいと…」

マナ「え?」

アオキ「予告なしで直接行った方がいいと思うと…自分が言ったんです」

「アオキさんが…?」

アオキ「仮にアポを取ろうとしても理由を付けて会わないようにするか連絡先を交換しないように策を立てるか…それをされるのは自分としては腑に落ちません」

マオ「でもAには事情があって…」

アオキ「失礼を承知の上で…彼を知る人間として一言言わせて下さい」



アオキさんの真剣な眼差し。

私はどんな言葉を言われるのかと身構えた。



アオキ「過去に年下の男性と何かあった…しかし彼はその男性と同じ人間ではありません。Aさんの気持ちはわかります。過去の経験から出身地や年齢や血液型など同じ立場の人間を警戒したくなるのは。ただシャッターを下ろすのはもう少し相手を知ってからでも遅くはないと思うんです」

「確かに…」

アオキ「ただ自分はAさんではありません。Aさんの辛い気持ちも年下の男性にどれほど苦手意識を持っているのかもわかりません。グルーシャさんがどんな人間だろうと年齢の時点でアウトなら彼にそう伝えますが…」



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作者名:トモ | 作成日時:2023年10月21日 21時

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