検索窓
今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:51,861 hit

five ページ5

「はぁ〜、結局嫉妬じゃん」


『わたくしが嫉妬なんてする訳ないでしょう?!わたくしを誰とお思いなの?』


「わがままでブラコンなお嬢様」


即断されて頭に血が上る。
わがままだなんて言われたことない。
だって、わたくしのお願いは何でも簡単に叶った。わがままの内に入らなかった。


『もういいわ、そうね、わたくしはわがままよ!
わたくしはわがままなの、だからわたくしの言うことを聞きなさい!』


めちゃくちゃな理論だという自覚はある。それでも、そう言う以外に何て言えばいいのか分からない。
もうヤケクソである。


『わっ、わたくしのお友達になりなさい!』


少し声が震えたけれど、言えた。真っ直ぐ彼の瞳を見て言う。スカートの裾が皺くちゃになっている気がしたが気にしない。

なんで名前も知らない彼を引き止めたのか、ただ、その態度がわたくしの周りにいる人たちと違って見えたから。

無礼な態度に苛ついたのも事実。でも、それ以上に少し、本当に、少しだけ嬉しく思ったのだ。

ここにいる人達は、お兄様と同じように、サッカーが、サッカーだけがやりたくてここにいる。
わたくしを捨て置いてでも、欲しいモノがある。

気兼ねない、本当の友達、という関係になれる気がした。
欲しいモノが手に入れられる気がした。


「ふはっ、ははっ何だよお前」


「嫌だね、友達っていうのは、なれって言われてなるもんじゃないんだよ。」


欲しい(モノ)を手に入れられなかった時は、どうすればいいのだろうか。
お父様に教えてもらったことはない。

欲しい、欲しい、
わたくしを前に嫌だと言い切った彼が。
欲しい、欲しい、欲しい、
簡単には手に入らないモノほど欲しくなる。


『な、らば、わたくしとお友達になってはくれませんかっ?対等な関係です。わたくし自身と、ただの御影Aと、友達に・・・!』


「不器用だなぁ、いいよ。俺別にお金だのなんだのって興味ないし。俺が興味あるのはサッカーだけだ」


くすりと笑って言う彼にどうしようもなく惹かれた。
笑ったその目に確かな芯があるのを見た。

お兄様と一緒。

six→←four



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (128 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
407人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

LAN - めちゃくちゃ面白いです!こういう話少ないので、思わず一気読みしちゃいました(*´꒳`*)更新はもうしないのでしょうか…? (3月23日 10時) (レス) id: 5f661ba308 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:レモンはちみつ x他1人 | 作成日時:2022年11月6日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。