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「はぁ〜、結局嫉妬じゃん」
『わたくしが嫉妬なんてする訳ないでしょう?!わたくしを誰とお思いなの?』
「わがままでブラコンなお嬢様」
即断されて頭に血が上る。
わがままだなんて言われたことない。
だって、わたくしのお願いは何でも簡単に叶った。わがままの内に入らなかった。
『もういいわ、そうね、わたくしはわがままよ!
わたくしはわがままなの、だからわたくしの言うことを聞きなさい!』
めちゃくちゃな理論だという自覚はある。それでも、そう言う以外に何て言えばいいのか分からない。
もうヤケクソである。
『わっ、わたくしのお友達になりなさい!』
少し声が震えたけれど、言えた。真っ直ぐ彼の瞳を見て言う。スカートの裾が皺くちゃになっている気がしたが気にしない。
なんで名前も知らない彼を引き止めたのか、ただ、その態度がわたくしの周りにいる人たちと違って見えたから。
無礼な態度に苛ついたのも事実。でも、それ以上に少し、本当に、少しだけ嬉しく思ったのだ。
ここにいる人達は、お兄様と同じように、サッカーが、サッカーだけがやりたくてここにいる。
わたくしを捨て置いてでも、欲しいモノがある。
気兼ねない、本当の友達、という関係になれる気がした。
欲しいモノが手に入れられる気がした。
「ふはっ、ははっ何だよお前」
「嫌だね、友達っていうのは、なれって言われてなるもんじゃないんだよ。」
欲しい
お父様に教えてもらったことはない。
欲しい、欲しい、
わたくしを前に嫌だと言い切った彼が。
欲しい、欲しい、欲しい、
簡単には手に入らないモノほど欲しくなる。
『な、らば、わたくしとお友達になってはくれませんかっ?対等な関係です。わたくし自身と、ただの御影Aと、友達に・・・!』
「不器用だなぁ、いいよ。俺別にお金だのなんだのって興味ないし。俺が興味あるのはサッカーだけだ」
くすりと笑って言う彼にどうしようもなく惹かれた。
笑ったその目に確かな芯があるのを見た。
お兄様と一緒。
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LAN - めちゃくちゃ面白いです!こういう話少ないので、思わず一気読みしちゃいました(*´꒳`*)更新はもうしないのでしょうか…? (3月23日 10時) (レス) id: 5f661ba308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レモンはちみつ x他1人 | 作成日時:2022年11月6日 18時