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『あら、御影の名を捨てたお兄様じゃない』
口をついて出たのはそんな言葉。
わたくしまだ、勝手に一人で出ていったお兄様のこと許したつもりはないので。
「自分から捨ててやるよそんな名前」
『御影を継ぐ気はないのね』
「当たり前だろ、つまんねぇもん」
全力で賛同したい言葉だ。
でも、わたくしにとっては困ってしまう。
『なら、わたくしに継げとでも?
最近お父様が五月蝿いのよ。お兄様が万が一、使い物にならなくなったら_わたくしが跡継ぎだって』
お兄様に協力する気はあった。
でも、さすがに跡継ぎとかは嫌なのだ。
正直なところ、そこまで深く考えていなかった。
「得意なんだからいいだろ」
『嫌よ。だって退屈じゃない。
どうしてお父様の言いなりになって、つまんない選択をしないといけないの。』
だから、今、ここにいるのだ。
反抗期____わたくしの力をフルに使った
嫌がらせを随時、絶賛展開中。
「あっ、Aさま!勝手に一人で出歩かないでください。あぁ、お荷物も持ちますから。」
『ありがとう瑞希』
わたくしを探しにきた瑞希がやってくる。
豹馬くんが持っていた書類を預かり、先に行こうとする。
「あぁ、Aさまのお兄様。いらっしゃったんですね。
玲王・・・様でしたっけ?」
『あぁ〜、瑞希突っかからないで。大丈夫だから』
嫌な予感がしたわたくしは瑞希を止めようと思ったが無理だった。
「Aさまからお話は聞いていましたけど、そっくりなんですね。特にその髪色なんかも綺麗な紫色で。
ですが矢張り、Aさまとは似ても似つかわないといいますか。なんの差でしょうかね。Aさまは、とても素晴らしいお方ですから。さぁ、Aさま。あんなのは放っておいて行きますよ」
『瑞希・・・』
やっぱりやらかしている。
綺麗な紫色だとか、褒めてはいるけれど完全に煽っている。翻訳すれば、
"Aさまから話を聞いていたけど容姿はそっくりなんだね。特にその髪色なんかも。でも、やっぱり似てないね。
だって、性格の差が容姿にも出ているから。Aさまは素晴らしいお方だけど、あなたは違うみたい。"
となるのだ。
お兄様もその言葉の意味を理解しているだろう。
『ちょっとお待ちなさい瑞希。』
取り出したメモ帳に場所と時間を書き出す。
おそらくこの時間は自由時間のはず。
びりっと破いて豹馬くんに渡した。内緒という意味を込めて、口に指を当てた。
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LAN - めちゃくちゃ面白いです!こういう話少ないので、思わず一気読みしちゃいました(*´꒳`*)更新はもうしないのでしょうか…? (3月23日 10時) (レス) id: 5f661ba308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レモンはちみつ x他1人 | 作成日時:2022年11月6日 18時