朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」2

64話 巣窟 ページ17

ハクsaid




エースが肩を強く突き、高く飛び上がる




そのまま姫さんを腕の中に引き込み、地面に転がった




ハ「無事か！？」



『ご無事ですか姫様！？』





俺の大刀が刺さり、絶命した蛇を見て、顔をしかめながら姫さんを揺さぶる





姫さんは驚きと恐怖の混ざった顔で地を見ている




ハ「なかなか帰ってこないと思ったら
どうしてこんな所まで！？


ここはこの蛇は毒を持っている。暗闇で足を滑らせて転落するかもしれない。そんな場所を一人で、死にたいのか！？」




『一人でこんな所まで…自分の立場を分かってないの！？』





血相を変えて怒鳴られ、姫さんの顔色が変わる




.








.







.




その瞬間、地を這うようなシューと言う音が聞こえた





足元を見ると、獲物を逃がさないとばかりに集まる蛇




ハ「くそ…巣窟かよ。ここは」




姫様を抱き上げ、前に走り出す





.








.







が、







.




ハ「ぐおっ」




裾が強く引かれ、転びそうになった




振り替えるとヘタッと座り込み、首を振るエース




ハ「なにやってんだ。早く『こっ』……は？」




『腰が抜けた………』




らしくないくらい怯えてるエースにかなり驚いた




と、同時になにか不自然さを覚えた





しかし、この場の危険さにその考えを消し飛ばし、エースの手を掴んだ




『ハ、ク』



ハ「繋いでてやるから！立て！」




皮も厚く豆だらけで、でも俺よりずっと小さな手を握った




時と場合によっては赤面してたかもしれねぇな




エースの手を引いて巣窟を抜けようとする




が、途端に毒蛇に足を噛まれた




『っ！？』




背後で大人しくしていたエースが手を伸ばし、よろけた俺を支えた




.

65話 その為に→←63話 宙に

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す