【歌い手】俺の恋人は…。【男主】 (ページ16)

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第44話ページ16

「おはよ…」

そ「おはよう！」

「ご機嫌だね。」

そ「Aと…結婚できるのが嬉しくて///」

結婚…。

「彼方、結婚の事だけど…。吸血鬼と人間の結婚は、そう簡単じゃないんだ…。」

そ「どういう…意味？」

「彼方を…、吸血鬼にしないといけない…」

そ「お…れを？」

「そう…。人間が吸血鬼になる時は、骨が変わるから尋常じゃないほどの痛みがくる…。」

俺は、彼方が痛む姿は見たくない…。

そ「A結婚できるなら…それでもいいよ。」

「マジ？」

そ「うん。俺が人間だと、Aより先に死んじゃうし…。」

確かに、人間は儚い命の動物だ…。歳をとる事に身体は弱くなる。

だが、吸血鬼の場合は、何千年でも生きれる。寿命が来ない限りは不老不死と同様だ。

「いいの？」

そ「うん。いい。なら、今すぐに俺を吸血鬼にしてよ。」

「分かった…。俺に抱きついてて…。痛かったら、引っ掻いていいから。」

そ「ん。」

彼方が俺の背中に腕を回したのを確認してから、彼方の首を噛む。

今回は吸血ではなく、牙から吸血鬼にするための毒を出す。

そ「あ"ｯ！あ"ｸﾞｯ…ｳﾞｯ！！」

ぎゅっと抱きしめてやると、ﾊﾞｷｯ…ｺﾞｷｯと骨が変形する音が聞こえる。

そ「あ"ぁ"あ"ｯ！！」

背中に彼方の爪がくい込む。

彼方…頑張ってくれ…ｯ…。

そ「い"ｯ…ｯ！！はっ…ん"ぐｯ！！」

「頑張れ…」

そ「あ"う"ｯ！ぐ…ｳﾞ…ｯ！」

彼方に毒を入れてから、約30分…。

彼方の力が弱まって、俺の方に額を乗せながら息を切らしてる。

「大丈夫？」

そ「ん…。大丈夫…。」

「血…飲んでみる？」

そ「うん…。」

スルっと首元を広げてやる。

そこに彼方が顔を埋め、俺の血を吸う…。

「お味はｯ…いかがかな？」

そ「美味い…ﾝｯ…ﾝｯｸ…はぁ…はぁ…」

「目が赤だ…。俺と一緒の…血食系だ。」

彼方の頬を撫でてやると、嬉しそうに微笑んだ。

「ほんとに良かったの？」

そ「うん。小さい頃みたいに、置いていかれるのはもう嫌だからね。」

「そっか…。もう二度と、置いていったりしないから…。これからよろしくね？お嫁さん♪」

そ「え、あ、え？こ、これで結婚成立？」

「そうだよ。」

そ「じゃあ、こちらこそよろしく！旦那さん！」

吸血鬼になることも大丈夫だった彼方だ…。きっと子供も大丈夫だと信じたい。
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