金髪の彼はヤンデレでした【我妻善逸】

第9話 ページ9

俺は店を出ていくAとヒロを追いかけるように店を出た。


…Aの腕を自分の肩にまわして歩いていく姿を後ろから睨みつけながら。







……不快な声を聞きすぎたからかな。見すぎたからかな。





____なんか、頭が真っ白になっていくんだよな。





カナヲちゃんに教えて貰わなかったら、


俺がここに来なかったら、Aは……。




・





「おい。」




「……あ？なに、お兄さん」


俺が話しかけるとヒロは、振り返ってこちらを睨んでくる。


____横には愛しいAがいて。




ほら、近くでまじまじと見ても大したことの無いやつだと思う。なんでミカとアカリもこんなやつら、選んだんだよ。




…かっこいいわけでもなく、思いやりもない、まじで底辺の人間なんだよ、コイツは。







お酒に慣れてない女の子に無理やり酒飲ませようとするところとか。



…ほぼ寝ているAをおんぶしてあげるわけでもなく、支えているだけのところとか。









すぐタクシー呼ぶから、なんて会計前にミカとアカリに散々言ってたくせに____全然タクシー呼ばずにこんなホテル街にAを連れてきてるところとかさ。





ほんと、









地獄に落ちればいいのにな、って思うよ。







「…っ！！……かはっ……な、なにすんだよ！」



Aをこいつから引き離した後、このカス男の腹を思いきり殴った。



俺はAを抱き寄せながらしゃがみ、倒れ込むソイツの髪を引っ張り上げる。


「ひ、ぃっ…！！」




…ヒロとかいうこのカスは、さっきの合コンの時までとは打って変わって、痛みと恐怖で表情を歪ませている。



「……この子になにしようとしてた、言ってみろ」


睨みつけながら言う俺に、コイツは震えながら口を開いた。


「その子……酔って…た、から……タクシー…呼ぼうと____う、ぁッ！！！」


くだらない言い訳をしようとするソイツの頬を容赦なく殴る。


…赤くなった頬を抑えながら俺を見上げてくる。


「悪い悪い。嘘は嫌いだからさ、俺……。


で？こんなホテル街でなにしようとしてたの、言ってみてよ」


俺がそう言って笑うと、ソイツは涙目になって答えた。


「あ……ぁ……連れ、込もうと…」


その言葉を聞いた瞬間、おかしくて思わず笑ってしまった。


「………はは。お前が？Aを？」


…お前ごときが、こんなに可愛いAを？



「……2度とAに近づくな」








俺の可愛い、俺だけのAに。

第10話→←第8話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す