雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ29)

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ナンパページ29

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爆豪がいなくなって数十分。
開き直ったAは目的とは違うものを物色していた。

(このマグカップ可愛い……っ！これも！)

可愛いものがありすぎてテンションが上がっていた。

気がつけばそれなりに時間が経っていることに気づいた。
そろそろ本格的に服を買わないとヤバい。

(っていうか、爆豪君はどこに？)

自分を店に置き去りにした男を思い浮かべる。
外に出て周囲を見渡すが、この広い場所で簡単に見つかるはずがない。

(私がお金持ってる状態だよね？これ、勝手に帰ったら怒られる？)

いや、何の前触れもなく連れ出されたAと違って、爆豪の方は財布もスマホも持っているに違いない。

そう思いたいが、確信が持てないので勝手に帰るのは気が引ける。
連絡をつけようにもAのスマホは事務所の鞄の中だ。
そもそも爆豪の連絡先を知らない。

(う～ん困ったなぁ……)

道路の真ん中に植えてある木の下のベンチに座って考える。

「ねぇ君、雄英の子だよね」
「エンデヴァーの双子の妹の方！」
「え？」

２人の男子生徒がAを挟むようにして座っていた。
見たことのない制服。
体格からして高校生だろう。

下を向いて考えていたので両隣に人が座ったことに気づかなかった。

「あー……、はい」

Aは曖昧な笑顔を作って返事をした。

テレビで体育祭の様子が流れてしまった以上、顔を覚えられてしまったのは仕方がない。
ただ、こういう時の対処法をAは持ち合わせていなかった。

「体育祭、惜しかったね」
「毎年見てるけど、今年のはまたひと味違ったな！」
「トーナメントなんて燃えたぜ～」
「そう……ですか」

Aを挟みながら会話を繰り広げる２人に適当に相づちを打ちながら、この場を離れる方法を模索した。

「あの……私はそろそろ──」
「今日は１人で買い物？」
「俺らとお茶しない？」
「お、それ良いねえ！奢るからさ、ね？」
「え……っと」

これはいわゆるナンパというものなのだろうか。
こういう機会に触れてこなかったAはどう対応すべきか困った。

強引に話を進めていく２人に少しだけ恐怖を覚える。
そんな時、Aを覆うように影が差したかと思うと、手を掴まれて強引に立たされた。

「オイ、こんなところでなにしてやがるんだ」
「え？」

目の前にはAを置き去りにした男──爆豪勝己が悪人面で立っていた。

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