雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ30)

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上鳴電気ページ30

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雄英高校のヒーロー科に通う上鳴電気は、本日の職場体験を終えて街へと繰り出していた。

特に用事はなくぶらぶらと街を歩いていると、見知った後ろ姿を見つけた。

「爆豪？爆豪じゃん！お～い、爆豪～～」
「あ゛あ？」

呼び止めれば、今までになく不機嫌な顔で睨みつけられた。
爆豪の研修先を考えると、こんなところをウロウロしているのは珍しい。

「こんなところで何してんだ？」
「関係ねーだろ」
「そんなこと言うなよ。もしかして……サボリか？」
「んな分けねーだろ！！クソがっ！！」

上鳴は最近マスターしつつある爆豪の扱い方を駆使して、この場所にいる理由を聞き出した。
爆豪の言葉は暴言混じりで変な方向に飛ぶが、要約するとこうだ。

ヒーロー殺しの件に轟が関わっているのは間違いなく、研修に身が入らないAを心配した事務所のスタッフが、お見舞いの名目で病院に行くように指示した。

それを今日の研修メニューとして任されたのが爆豪。

その後、気晴らしを兼ねて仕事用に服を見繕ってくるように言われた、と。

(ここまで解読できた俺すげー……)

「……で？ Aちゃんは？」
「知らん。置いてきた」
「はぁ！？」

さらりととんでもないことを言う爆豪に上鳴は声を上げた。

「Aちゃん１人にしたのか！？それはヤベーよ！！」
「はァ？なに言ってんだ」

顔色を青くする上鳴とは反対に爆豪は渋面をつくった。

「だってあんな可愛い子がいたら声かけるっしょ！？俺なら絶対にほっとかねーし！！っていうか今からナンパしてくる！！ Aちゃんどこら辺にいるの！？」
「知るか」
「爆豪ーーっ！！」

冗談はともかくして、上鳴は純粋にAが心配だった。
学校では狙っている生徒がお互いに牽制し合っているから問題はないが、ここは外だ。

「とにかく探せ！お前もだぞ爆豪！」
「あ゛あ！？ンで俺があのクソ女を……」
「ああああーーっ！！」」

目的の人物はあっさりと見つけられた。
モール街のシンボル的存在の大木の下に設置されているベンチ座っている。
それはいい。
問題はAを囲んでいる男子高生２人。

(ああああ、めっちゃ困ってるじゃん！やっぱ１人にしたのはまずかったって……！)

上鳴が助けに入るべく駆け寄ろうとする。
しかしそれよりも速いスピードで爆豪が動き、Aを２人組から引き離していた。

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