雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ21)

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突然の── ページ21

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身動きが取れない。
なぜならAの動きを封じるように太ももの上を爆豪が占領しているから。

いわゆる膝枕状態。

「おーい」
「……ん、……」

ぺちぺちと軽く頬を叩けば、爆豪の目蓋がわずかに揺れた。
おもむろに開いた目は瞬きを繰り返して周囲を見渡す。

「どうも、爆豪君。おはよう」
「……」

皮肉を込めて言えば、爆豪の目はAを見た。
気怠そうにソファーに座りなおしたが、その目はまた閉じそうになっている。

「ちょっと、寝るなら部屋で寝なよ。ほら」

腕を引っ張れば、すんなりとソファーから立ち上がった。
そのまま手を引いて彼の部屋(Aの隣)へと誘導する。

「カードキーは？」
「……ん」
「もう、それくらい自分でやってよ」

まだ眠気が残っているのか、解錠すらも面倒のようだ。
仕方がないなぁ……と差し出されたカードキーを受け取って、扉のロックを解除した。

「はい、どうぞ」

扉を開けて、照明をつけてから爆豪を部屋の中に促す。

「じゃあね。ちゃんとお風呂に入ってからベッドで寝るんだよ？」
「お前……」
「？」

部屋を出ようとしたところで手首を掴まれる。
まだ何かあるのかと振り返ると、ぐいっと爆豪の方へと引き寄せられた。

「え……？」

気がつけば鼻先が触れそうな距離に爆豪の顔があり、思わず瞳を大きく見開けば──

──ゴンっ！！

「～～～～～～っ！いったぁっ！」

目の前に星が散った。
──いや、比喩ではあるが、それほどまでにAの額は激しいに痛みに襲われた。

「痛ぅ……っっ」

頭突きをくらわせた爆豪も、額をおさえながら天井を仰いでいた。

「あ゛ーーったく！何させんだこのクソ女！！」
「それはこっちのセリフだよ！！一体なに！？」

理不尽に怒鳴りつける爆豪は不機嫌顔で「あー……目ェ覚めた」などと言っていた。
眠気覚ましに一発くらわせたというのか。
なんてやつだ。

「お前……兄貴の言葉を忘れたわけじゃねーよな」
「え？私が焦凍の言葉を忘れるわけないじゃな──いだ、いだだだだ……っ」

何をたわけたことを……と反論すれば、頭を鷲掴みにされた。
しかも痛む額に親指を添えて思いっきり押すという暴挙。

「とっとと自分の部屋に帰れ！！クソが！」

部屋の外に放り出されれば、拒絶するように激しく音を立てて扉が閉まる。
何がなんだか分からないAは呆然と立ち尽くしていた。

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