雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ17)

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決まりごとページ17

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ベストジーニストは本日のスケジュールをすっ飛ばして、まずは爆豪の髪から矯正させようと試みた。

彼の爆発的な髪が平たくなっていく光景を、Aは笑いを堪えながら眺めていた。

「轟さん」

近づいて来た女性事務員がAの肩を軽く叩く。
彼女はベストジーニストに目配せすれば、彼は承知したと頷いた。

「では行きましょうか」
「はい。じゃあね、爆豪君。頑張ってね～」
「はァ！？」

ひらひらと手を振るAに爆豪が目を吊り上げる。
瞬間、ＢＯＭＢ！！と髪が元に戻った。

「テメーどこに行くんだよっ！！」
「私はヒーロー志望じゃないから爆豪君とは一緒にいられないの。ごめんね」
「うっせーー！！とっとと行け！！清々するわっ」

背を向けると「これはかなり手強い……」とベストジーニストが呟く声が聞こえた。

Aの目的はヒーロー活動の体験ではなく、事務所経営に関してのノウハウを学ぶこと。

与えられたチャンスを活かさないのは愚行である。
ヒーロー科への編入の打診を断る際、駄目元でお願いしたらあっさりとＯＫをもらえた。

そのことは事務所側にも伝わっていて、ちゃんとAに合った研修メニューを用意してくれていた。

「ヒーロー科じゃないけど雄英生だし良いかなって、軽い気持ちで指名したのだけど、まさか本当にうちに来てくれるなんて驚いたわ」

寺村(じむら)と名乗る女性事務員は嬉しそうに言った。

「てっきりエンデヴァーさんの事務所の方に行くと思ってたのに」
「父の事務所は頼めばいつでも見学させてもらえるので。それ以外で有名どころのヒーロー事務所を選択させていただきました」
「なるほど」

案内された事務スペースには向かい合わせで机が並んでおり、書類の処理や電話を受けている事務員が数人いた。

お辞儀をして「よろしくお願いします」と挨拶すれば、快く迎えてくれた。

「轟さん、こっちに来てもらっても良い？」
「はい」

小さく手招きする寺村は、Aを奥の部屋へと誘導した。

「ひとまずここの決まりとして……」
「はい」
「これを着用してもらいます。好きなのを選んでくれていいからね」
「……はい？」

ずらりと並べられたのはレディースのジーンズ。
色、形、サイズが豊富に取り揃えてある。

(ま、まさか……)

よく見れば、寺村が履いている黒いズボンも、生地はジーンズのものだった。

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