愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ35)

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★☆ ページ35

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　それは好奇心ではなく、純粋な疑問だった。幼馴染が好意を寄せている彼女の本心が知りたくて。からかうつもりも余計な世話を焼こうと言うものではなく、本当に心からの疑問。

　第一、僕がお節介を焼こうものならかっちゃんは全力で拒否するだろう。だからこそ、これは僕の個人的な興味だ。

　僕の質問を聞いたAさんは驚いたように目を見開き、それから柔らかな笑みを浮かべた。

「はい。それはそれは素晴らしいヒーローとして敬意を──」
「そうじゃなくて」
「……」

　そんな意味ではないことはAさんもわかっているはずだ。だからこそ、当たり障りのない言葉で返そうとした。違うんだ。僕が聞きたいのはそういうことじゃあない。

「……」
「……、」

　わかっているだろう？と、まっすぐに視線で語りかけると、Aさんはわかりやすく視線を逸らした。

「かっちゃんはね。ヒーローになってから、ずっと誰かを追いかけるようにヒーロー活動に勤しんでいた。……いや、何かを追い求めるようにと言った方が正しいかな」
「追い、求める」
「僕はそれはかっちゃんの憧れであり、ヒーローを目指すきっかけとなったオールマイトだと思っていたんだ」
「……」
「でもここに来て……ここでかっちゃんに会って、それは違うと気づいたんだ」

　今年、ヒーローランキングのトップ１０に名を連ねたダイナマイト。それは名声のためではなく──……

「かっちゃんは君に会いたかったんだね」
「──っ、」

　Ｉ・アイランドにいるAさんに会うために、ただひたすらヒーローとして実績を積んでいた。小さな案件から大規模な事件まで。どんな内容であっても、二つ返事で請け負っていたらしい。その信念たるや本当に感心するほどだ。

　その動機がヒーロー活動とかけ離れていたとしても。

　だけど。だからこそ、それほどまでにかっちゃんはAさんを──……

「……──だったらなおさら。私(わたくし)は側にいてはいけません」
「え？」
「私は、爆豪さんにはふさわしくありません」

　僕の話を聞いていたAさんは悲しい眼差しで、かっちゃんを見下ろしていた。

「な、なんで……？」

　あまり踏み入るべきではないと思いつつも、僕はその言葉の真意を尋ねた。

「私はかつて、一人のヒーローの命を奪っているんです」

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