愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ30)

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★★ ページ30

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　うるさい奴らを振り払ってようやく最上階の部屋に辿り着いた。Aは未だに眠りの中。少し乱暴に扱っても起きない。どころか安心した表情がまた憎らしい。

　まだ酒には慣れておらず、少しの量でもこうなってしまう。俺がいない時は絶対に飲むなと言い聞かせねぇと……と頭の片隅で考えていた。

「ん……、はれ……？」

　一瞬で明るくなったリビングの照明に反応して、Aは俺の腕の中で身じろぎをした。

「起きたか」
「……ばあやは？」
「今日は遅くなるから世話はいらねえって自分で言ってただろ」
「……あ」

　目を覚ましたAは、まずばーさんを探した。残念ながらばーさんはいない。今日は遅くなるから世話は必要ないと言っておいたことを忘れているらしい。

「ここは……家？」
「見りゃわかるだろ」
「えっと私……緑谷さんと上鳴さんにマンションの場所を案内してました……よね？」
「一応、記憶はあるんだな」
「ええ。今日は一杯しか飲んでませんので」
「はあ？へぇー……ふぅー……ん、そうか。んじゃ、風呂入っか」
「ええ、ではごゆっくり」
「なに言ってんだ。お前も入んだよ。一緒に」
「へ……！？」

　抱き上げたまま風呂場へ向かおうとする俺に、Aは焦りの声を出した。

「なな、何を……っ、じょ、冗談ですわよね？」
「自分が飲んだ酒の量も覚えていないくらいに酔ってんだろ？前科もあるこったし、今日は俺が世話してやるわ」
「え……！？」
「俺に隠れて二杯目を飲んだ上に堂々と嘘をついた罰だ、アホ」
「バレて──、」
「約束を破ったんだ。文句は言えねぇよなア？」
「すみませんでした！もう約束を破らないので降ろしてくださいっ！」
「うるせえ。観念しろ」
「はわわわ……っ！！」

　無防備に曝け出された首元に唇を這わせると、Aは顔を真っ赤にして手足をばたつかせながら俺の頭を掴んで押し返した。俺はため息をつきながら「冗談だわアホ」と、脱衣所の前で降ろす。

「あんまり遅かったら入りにくるから」
「え！？あ、ああ、あの……っ、そういうのは、」
「嫌なら長風呂せず上がってこいっつってんだ。分かれ！！」
「は、はい！そうですわよねっ」
「……」
「……」

　特に意味もなく発した言葉だったがAが真に受けてしまったため、すごく気まずい空気になった。
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