愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ29)

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★★ ページ29

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　彼女じゃねーわクソがっ！！

　自分で口にした言葉で、己の立ち位置を再確認させられた。

　そうだ。俺はコイツの彼氏でもねーしコイツは俺の彼女でもねぇ。アホ面の言葉を聞き流して肯定することもできたが、それでは現状に甘えて妥協しているようでプライドが許さなかった。

「え？マジ？彼女じゃないって……」
「二人はつき合ってないってこと！？」
「な、なんで……？」

　デクとアホ面は信じられないものを見る目で俺を凝視している。

　同情と憐憫が入り交じっている不愉快極まりない視線。Aを抱えていなかったら、全力でぶっ飛ばしていたところだ。その不愉快な目を向けられるくらいなら、プライドなんてかなぐり捨てて黙っておけばよかったと珍しく後悔した。

「……爆豪」
「あ？」
「Aちゃん、お家に帰したら近くで飲みなおさねぇ？」
「余計なお世話だわ！！」
「かっちゃん！もう遅い時間だから静かに……っ」

　さらに畳み掛けてくるアホ面を怒鳴りつけると、デクが周囲を気にして慌て出す。偶然通りがかった男は、目を合わせないようにして早足で通り過ぎていった。

「上鳴君も。かっちゃんにはかっちゃんペースがあるからさ」
「お、おう、そうだな。爆豪！なんかあったら相談に乗るから！」
「失せろ酔っぱらい」

　余計なフォローをするデクとでしゃばろうとするアホ面がとにかくウザい。特にアホ面。コイツ、酔ってるな。絡み方がいつも以上にウザい。大人しく寝ているAの方がまだマシだ。

「なあ、ばくごー。おまえどこの階にいんのー？今度宅飲みしようぜー」
「デク。コイツうぜえからとっとと連れて帰れ」
「う、うん。それじゃあ……」

　それでもまだ絡んでくるアホ面の背中を蹴ってデクに押しつけた。いってえ！何すんだ！！と声を上げるアホ面を無視して、俺はエントランスに入った。

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