愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ24)

今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:82,228 hit

★☆ ページ24

.

　やばいやばいやばい。外気温の暑さとは関係なしに冷や汗が背中を伝う。僕は今、窮地に立たされていた。

「どう言うことか説明──しなくていいからとっととくたばれクソナード！！」
「ちょ、ちょちょ、タンマ！その手を下ろして！！」

　僕は目の前で目くじらを立てながら、爆破の態勢をとるかっちゃんにやめるよう説得している。なぜこんな状況に陥っているかと言うと、Aさんと歩いていたところを運悪くパトロール中のかっちゃんに見つかってしまったのだ。

　僕と目が合ったかっちゃんはそれはそれはものすごい勢いで飛んで来た。かっちゃんの爆破を避けるのは造作もないんだけど、周囲の人を危険に晒すわけにはいかない。どうにか怒りを収めてもらうと必死に説得を試みた。

「てンめーこんなところまで何しに──」
「──爆豪さん、やめてください。こんな道路の往来で」
「あ゛？」
「通行している方に怪我をさせたらどうするんですか」
「──……チッ」

　僕を庇うように前に立つAさんの言葉で、かっちゃんは渋面を作って腕を下ろした。ああ、やっぱり、なんだかんだ言ってAさんの言うことは聞くんだ。

　僕の中で“好きな子に会いに行くためにヒーロー活動を頑張っていたかっちゃん”説が濃厚になっていく。

「オイ、何笑ってんだキモチワリィ」
「べ、別に笑ってないさ！」
「キモチワリィついでに死ね」
「相変わらず僕に対する扱いはひどいな君は！」
「……どうしたんですか爆豪さん？随分と機嫌が悪いみたいですけど」
「──ハッ、べっつに。俺はいつも通りだわ」
「そう……ですか？」

　Aさんは気づいていない。かっちゃんがヤキモチを焼いていることに。

「爆豪さんは勤務中なんですわよね？」
「あ？そうだけど」
「ではお邪魔にならないように失礼しますね。これから緑谷さんに都市内を案内する予定なので」
「あ゛あ！？」
「え、ちょ、Aさん……！？」

　なんてことを言っちゃってくれるんだ！！いや、案内してくれるって言うからお願いしたけど、なんで今それをここで！？

「てンめー……クソナード」
「いや、あの、一度来ているとは言えやっぱりどこに何があるくらいは知っておいた方がいいかなーとっ！」
「馴れ馴れしく名前で呼んでんじゃねえ！！」

　ええーーーーっ！？そっち！？

.