愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ23)

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★☆ ページ23

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　会計を済ませた商品を店長が丁寧に袋に入れるの待つ女の子。僕の視線が気になったのかくるりとこちらに振り向いた。

「！？」
「あら」
「す、すみませんじろじろと……っ、ああ、あの……僕たち、どこかで会ったことありました？」
「はい？え……っと、あの」
「あ、ち、ちが……っ、そういう意味じゃなくてっ」

　突然だったので驚いてとんでもないセリフを口走ってしまった。女の子は見るからに困っている。どうしよう、ヒーローデクが一般の女の子をナンパしていると噂されてしまったら。

「ふ……、ふふ、ふっ」
「……！？」

　焦っている僕を前にして、女の子は声を殺して笑い出した。彼女が笑うようなことを、何かしただろうか。変なことは言ったけど。

「このやりとり……懐かしいですわね、緑谷さん」
「へ！？僕の名前！？」
「あら？本当に私のことを忘れておいででした？」
「え！」

　ということは、僕はこの女の子と知り合いらしい。どうしよう、全然思い出せない。そもそもＩ・アイランドに知り合いなんて、デイビット博士とメリッサさんしかいないんだけど。どうしよう、本当にわからない。

「ご、ごめんっ。えーっとちょっと待ってね。今思い出すから……」
「五年ぶりですもの。忘れいていても無理ないですわ。百日紅(さるすべり)です。百日紅A。八百万百のいとこの」
「──あーーーー！！」

　名前を聞いて一気に記憶が頭の中を駆け巡った。彼女が笑った意味も理解できた。確かに五年前、僕は彼女と同じやりとりをしていた。

「ふふ。よかったですわ。あ……私のことは“A”で構いませんよ。百日紅なんて、長いし呼びにくいでしょう？」
「え……あ、じゃあお言葉に甘えて。久しぶり、Aさん」
「お久しぶりですわ、緑谷さん」

　改めて挨拶を交わして顔を見る。……そうか。Aさん、Ｉ・アイランドにいたんだ。

「爆豪さんも先月からいらしてるんですよ」
「みたいだね」

　嬉しそうに笑うAさん。そういえば、かっちゃんと普通に接することのできる数少ない人物だった。かっちゃんが恋をしていた相手……──って、ああ……そういうことか。

　ここで僕はようやく僕は理解した。

　かっちゃんは好きな女の子を追いかけて、ここにきたのだと。

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