愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ37)

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☆★　硝子瓶に閉じ込めた恋心ページ37

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「見てください、明！新しく発売されたダイナマイトのグッズですわ！」
「Aは本当にダイナマイトが好きなんですね」
「はい！爆豪さんと同じ高校だった明が羨ましいです」
「……え？」
「“え？”って、同学年ですわよ？学科は違うでしょうけれど存在くらいは、」
「全っ然記憶にありません」
「なぜ！？っていうか、どうしてそこまで他人に興味がありませんの！？」
「私の発明にそんな情報は必要ありませんので。ダイナマイトが私のベイビーを専属で扱ってくれるというのなら別ですけれど」
「……」
「おやおや？なんですかその複雑そうな顔は」
「そ、そんな顔してません！」

　それはある日常での会話。ダイナマイトグッズを嬉々として見せにきたAにちょっと意地悪を言ってからかうと、ぷいっとへそを曲げてしまった。

　彼女はダイナマイトに──いや、爆豪勝己に恋をしている。

　Ｉ・アイランドに来る前から彼とは知り合いで、彼女の実家の会社が彼のスポンサーという縁で特別に力を入れて応援している……らしい。

　本人は“ダイナマイトのファン”だと言い張っているが、私の推察は恐らく当たっている。テレビ越しにダイナマイトを見る彼女の瞳はとてつもなく恋に満ちていた。叶わぬ気持ちに蓋をして、“ファン”という大義名分に置き換えているのだ。

「Aは後悔して……いえ、なんでもありません」

　余計な詮索をしようとした自分を叱咤する。

　外界との連絡を禁じられたＩ・アイランドに来たということは、彼と離別する決心をしたということ。彼女の中でたくさんの葛藤があったに違いない。

「ふふ～さてさて、どこに飾りましょうか！」
「いや、持って帰ってください」
「保存用は持って帰りますよ～」

　良い笑顔で振り返るA。ダイナマイトのグッズ集めは彼と会えない反動から来たものなのか、日を追うごとにその収集っぷりに磨きがかかっていた。

　そんな折に現れたヒーローダイナマイト……──いえ、Aの想い人。それは彼女にとって幸運なのか、はたまた不運なのか。

“……それはつまり、俺がこいつを家まで送り届けろと”
“ご明察です！”

　私がしたことはAの気持ちに反したことだったのかもしれない。それでもやはり、私は諦めてほしくなかったのです。

　だって、見た瞬間に分かってしまったのです。

　彼もあなたのことを──……

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