失われた雪の欠片３ ページ10
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「記憶、ねーんだって」
２年くらい、ごっそり──……。
轟が爆豪の後ろで呟き、Aは申し訳なさそうに目を伏せた。
「ごめんなさい……」
それはとても残酷な宣告。
目の前が真っ暗になるとは、こういうことなんだと初めて実感した。
＊＊＊＊
男の取り調べが行われた。
しかし非合法の薬を乱用していたようで、意識障害を起こしている。
個性届けには『呪い』と記されていた。
強い怒りを込めて触れた相手の“何か”をランダムで喪失させる、というものらしい。
他の被害者も“何かしら”を喪失している。
ある者は視覚を、ある者は聴覚を。
個性を失ったという報告もあった。
犯人は人通りの多い場所を、“人を掻き分けながら”走って警察から逃げていた。
触れられた人物にAが混じっていた。
たったそれだけ。
(たったそれだけで？ ただ運が悪かった……と？)
Aが入院した翌日、爆豪は病院のロビーのソファに座りAの病室がある廊下を眺めていた。
今、Ａ組の生徒がAの見舞いに訪れている。
ここまでついて来たがこれ以上先に進む勇気がなかった。
「…………はっ、」
それは己に向けた嘲笑。
初対面の相手に、自分の印象が良く映ることはないことは自覚している。
それで良いと思っていた。
愛想を振りまいて生きるなんて願い下げだ。
必要なものさえ側にあれば良い。
そう思っていたのに──……それは突然失われた。
怖いのだ。
自分を忘れてしまったAに会うのが怖い。
『好き』という感情が差し引かれた視線を向けられるのが、これ以上なく……怖い。
握り合わせた手に力がこもる。
「──見舞い、いかねーの？」
「……っ！ あ……」
「どーも」
顔を上げるとAと轟の兄・夏雄が缶コーヒーを片手に立っていた。
「まぁ、気持ちは分かるけど」
夏雄は「よっこいせ」のかけ声と同時に爆豪の隣に腰掛けた。
「俺たちはつい最近やっと家族らしくなってきたのに、２年前まで巻き戻しだしなぁ……」
「……」
「なんかギスギスしちゃってさ。今のAにとっては“はじめまして”のＡ組の子たちの方が気楽に話せるみたいだ」
夏雄は顔を上向きにして、喉を鳴らしながらコーヒーを飲んだ。
ぷは、と息を吐いて爆豪をみる。
「父さんも心配してる」
「……そりゃあ娘があんな目に遭ったら──」
「それもだけど、爆豪君を」
「……俺を？」
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パチ麻呂(プロフ) - 続編うれしいです、作者様もどうかお身体に気をつけてください！ゆっくりでもいいのでずっと待ってます(;_;) (2020年5月8日 0時) (
レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 完結ですか？？この作品ものすごく好きだったので完結するのが悲しいです((泣)) (2020年3月5日 20時) (レス) id: 3aa825630d (このIDを非表示/違反報告)
鳳＊(プロフ) - えっ、、、イラスト美味すぎん、、、？作品内容もバリ良きだけど、イラスト書いている私からしてもこりゃ上手いわ……！ (2020年1月16日 17時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - お話は面白いし絵も素敵です。 (2019年10月24日 2時) (レス) id: 4b6f8d26fa (このIDを非表示/違反報告)
ツートップは神でしょ - すいません！轟さんバージョンの作品を見つけました！知らずに聞いてすいません・・・でもこのシリーズとっても大好きなのでこれからも頑張って下さい！！ (2019年5月8日 20時) (レス) id: 1be51e16a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年11月14日 22時
