失われた雪の欠片４ ページ11
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「２年ってことは、爆豪君との記憶は残ってないってことだろ？」
「……」
「相当きついだろうなって。Aのこともだけど、父さんはそれが心配みたいで。気に入られてるねぇ、爆豪君」
「それは……」
爆豪自身、なぜ認めてもらえたのか不思議なところである。
「……昔、姉ちゃんがさ」
爆豪が考えを巡らしていると、夏雄が缶を捨てるために立ち上がり、姉について話しはじめた。
「家に彼氏連れてきたんだ。高校に入ってすぐだったかな」
カコン、と缶同士が当たる音が廊下に響いた。
「姉ちゃんが嬉しそうに紹介するから、いい人なんだなーって。で、話の流れでお父さんは質問したわけよ。“君の一番のヒーローは誰だ”って」
「……！」
それは爆豪もかつて問われた言葉だった。
再び隣に座った夏雄は、指を組みながら話し続ける。
「その男はこう答えた」
──もちろん、エンデヴァーさんです！！ あの、俺を弟子にしてくださいっ！！
それはもう熱心に、キラキラと目を輝かせていた。
しかし父親はすげなく断った。
サインや握手もねだられたが応じることなく。
それから数日も経たないうちに彼氏の態度は急変。
冬美と距離を置くようになり、最終的に別れた。
後から聞いたことだが、彼はエンデヴァーの熱狂的なファンだったらしい。
冬美を利用して近づいたと考えて間違いない。
「姉ちゃん、そん時はすっごくへこんでたけど、今は笑って『思い返せば最低な男だったわ』って言ってる」
「だから……」
「そ。だから父さんはあえて爆豪君にも質問した。自分目当てで娘に近づいたんじゃないかと疑って」
「……」
「でも君は合格した。ちゃんとAを見てくれていた」
にかっと白い歯を見せて笑いかける。
「Aに会いにいってやんねーの？」
「怖い……んだ」
「怖い？」
「記憶も思い出もなくしたAに拒絶されるのが……。恋人が俺だと知った時に、“ありえない”なんて言われるのが」
「あーーーー……」
爆豪の言葉を聞いて、夏雄は後頭部をかきながら視線を泳がせた。
「……それ、Aは知ってる」
「は？」
「この前、爆豪君が帰った後に俺が言っちまった」
「はぁ！？」
散々悩んでいた爆豪に夏雄は「ごめん」と軽く謝る。
その時のAは「そうなんだ……」と短く呟き、ただ静かに窓の外を見つめていたらしい。
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パチ麻呂(プロフ) - 続編うれしいです、作者様もどうかお身体に気をつけてください！ゆっくりでもいいのでずっと待ってます(;_;) (2020年5月8日 0時) (
レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 完結ですか？？この作品ものすごく好きだったので完結するのが悲しいです((泣)) (2020年3月5日 20時) (レス) id: 3aa825630d (このIDを非表示/違反報告)
鳳＊(プロフ) - えっ、、、イラスト美味すぎん、、、？作品内容もバリ良きだけど、イラスト書いている私からしてもこりゃ上手いわ……！ (2020年1月16日 17時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - お話は面白いし絵も素敵です。 (2019年10月24日 2時) (レス) id: 4b6f8d26fa (このIDを非表示/違反報告)
ツートップは神でしょ - すいません！轟さんバージョンの作品を見つけました！知らずに聞いてすいません・・・でもこのシリーズとっても大好きなのでこれからも頑張って下さい！！ (2019年5月8日 20時) (レス) id: 1be51e16a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年11月14日 22時
