それはある意味罰ゲーム３ ページ22
.
「はい」
「なんだ、これ」
「キムチとチョコレート」
「……」
Aは爆豪の部屋を訪れていた。
ベッドに腰掛ける爆豪に２つの包みを渡す。
先日のできごとを思い出したのか、渡したプレゼントの中身を告げた途端に顔色が悪くなった。
「今日はバレンタインだよ。知ってた？」
「あのくっだらねぇイベントか」
「む」
爆豪の言い方にAは眉をひそめた。
「じゃあそれは没収します」
「あ？」
「相談に乗ってくれた上鳴君と緑谷君に譲渡します」
「あ゛あ！？」
「ほら、はやく返して。渡してくるから──って、ちょっと！」
爆豪がプレゼントを持った手を高く上げた。
Aはそれを追いかけたが、残念ながら腕の長さが足りない。
移動しようとするも、爆豪の腕がAの腰をホールドしたことによってそれ以上の追求は叶わなかった。
「勝己君」
正面から爆豪に乗り上げる体勢でストップしたAは、ちょうど目の前にある顔に向かって訴えかける。
「離して」
「これはもう俺のモンだろ」
「くだらないって言ったくせに」
「……」
「まーこういうのは興味ないって分かってたし、最初からチョコを受け取ってくれるなんて思ってなかった──」
「うるせぇ」
「んむ！？」
文句を言っていた口が爆豪の唇で塞がれる。
半開きの唇を狙ったように舌をねじ込んできたので、無理矢理顔を逸らして唇を離した。
「もう！ そうやって誤魔化そうとしないで！」
「……」
「あと、この際に言っておきます」
「あ？」
「キムチを食べた後はしばらくの間、キスはしないで」
「は！？」
「キムチ味のキスはちょっと……無理」
「……」
今まで嫌だと思っていたことを吐露した。
爆豪も心当たりがあるようで、反論を控えたようだった。
室内に漂うキムチの残り香。
おそらくAが来る前に食べていたのだろう。
「……」
「……」
「……慣れろ」
「は？」
何か考えているなと思ったら、あろうことかAに対して『慣れろ』と言い出した。
性懲りもなく口を近づけてきた爆豪の顔を手で受け止める。
「邪魔だ。手ぇどけろや」
「いやいやいや！ なんでそう言う結論になるの！？ なに解決しましたみたいな顔してるの！？ 私、キムチ苦手なんだけど！ 今までずーっと我慢してきたんだけど！」
「慣れろ」
「だから無理ーー！！」
Aと爆豪の攻防戦は、心配した隣室の切島が様子を見にくるまでしばらく続いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
腐りゆく世界の中で vol.3【呪術廻戦０】【ヒロアカ】
【ヒロアカ】暗殺者が転生してヴィランになる話２【男主】
【僕のヒーローアカデミア】檻の女は多分ヒーロー【女主】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パチ麻呂(プロフ) - 続編うれしいです、作者様もどうかお身体に気をつけてください！ゆっくりでもいいのでずっと待ってます(;_;) (2020年5月8日 0時) (
レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 完結ですか？？この作品ものすごく好きだったので完結するのが悲しいです((泣)) (2020年3月5日 20時) (レス) id: 3aa825630d (このIDを非表示/違反報告)
鳳＊(プロフ) - えっ、、、イラスト美味すぎん、、、？作品内容もバリ良きだけど、イラスト書いている私からしてもこりゃ上手いわ……！ (2020年1月16日 17時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - お話は面白いし絵も素敵です。 (2019年10月24日 2時) (レス) id: 4b6f8d26fa (このIDを非表示/違反報告)
ツートップは神でしょ - すいません！轟さんバージョンの作品を見つけました！知らずに聞いてすいません・・・でもこのシリーズとっても大好きなのでこれからも頑張って下さい！！ (2019年5月8日 20時) (レス) id: 1be51e16a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年11月14日 22時
