失われた雪の欠片７ ページ14
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爆豪は氷のように冷たくなっているAの手を引いて、まず昇降口へと向かった。
そこで靴を履き替えさせて、今度は寮に連れて行った。
「ここって……」
「Ａ組の寮だ」
自分の寮とは違う雰囲気のＡ組の寮を、Aは物珍しそうに見渡していた。
「ひっくしゅッ、ごめ──っくしゅ！」
現在は授業中なので、誰もいない。
利用者のない部屋は外と変わらない温度だった。
照明をつけて暖房の電源を入れる。
少し高めの温度に設定した。
「適当に座ってろ」
「うん」
「……これ、使え」
ソファの背に掛けてあったブランケットを手渡す。
女子が置いているものだ。
勝手に使ったからって別に怒らないだろう。
「ありがとう」
Aはお礼を言って体を包むように羽織った。
「…………ちょっと待ってろ」
そういい残して、キッチンへスペースへ向かう。
棚からマグカップを取り出し、粉末のココアと牛乳を用意した。
クラスメイトが持ち寄って自由に飲んでいるもので、在庫がなくなったら誰かが補充するのが暗黙の了解。
爆豪が手にしているココアはAが置いていったものだ。
「なにしてるの？」
「……っ！？」
小さめの鍋で温めていたミルクをマグカップに注いでいる途中で、背後から声がかかった。
驚きで肩が跳ね、勢いよく振り返るとAがすぐ近くまで迫ってきていた。
「な──、おま、驚かすんじゃねえ！！」
「ご、ごめんなさい。いい匂いがしたから何してるのかなーって。爆豪君ってココア飲むんだね」
「違ぇわっ」
最後に蜂蜜を入れて数回かき混ぜた後、Aの前に差し出した。
「ん」
「えっと、私に？」
「他に誰がいんだよ」
「……えと……はい、いただきます」
Aはマグカップに手を伸ばし、湯気のたったミルクココアに数回、息を吹きかけてからそっと口をつけた。
「美味しい……っ」
感動したように呟いた後、再び口をつけてこくこくと夢中で飲んだ。
その横顔も仕草も全部、自分の側にいたAそのもので、爆豪は思わず抱き寄せてしまいそうになる。
しかしそれはまた違う感情に阻まれた。
伸ばしかけた手を体の前で組んで目を逸らす。
こんなに近くにいるのに、遠く感じる──……
「ふふ、温かい。実は寒くて凍えそうだったの。あそこに爆豪君がいてくれて良かった」
爆豪の心中など知らないAは、「助かったー……」と呟いてもう一度ココアを口に含んだ。
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パチ麻呂(プロフ) - 続編うれしいです、作者様もどうかお身体に気をつけてください！ゆっくりでもいいのでずっと待ってます(;_;) (2020年5月8日 0時) (
レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 完結ですか？？この作品ものすごく好きだったので完結するのが悲しいです((泣)) (2020年3月5日 20時) (レス) id: 3aa825630d (このIDを非表示/違反報告)
鳳＊(プロフ) - えっ、、、イラスト美味すぎん、、、？作品内容もバリ良きだけど、イラスト書いている私からしてもこりゃ上手いわ……！ (2020年1月16日 17時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - お話は面白いし絵も素敵です。 (2019年10月24日 2時) (レス) id: 4b6f8d26fa (このIDを非表示/違反報告)
ツートップは神でしょ - すいません！轟さんバージョンの作品を見つけました！知らずに聞いてすいません・・・でもこのシリーズとっても大好きなのでこれからも頑張って下さい！！ (2019年5月8日 20時) (レス) id: 1be51e16a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年11月14日 22時
