ヒーロー科の問題児 ページ40
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流れる涙を見て熾雪は驚いていた。
すぐに止めようと思ったのに、Aの思いとは逆に涙は次から次へと溢れ出てきた。
「……ここじゃあれだし、移動しようか」
優しくかけてくれる言葉に小さく頷いた。
熾雪はAの手をとってゆっくりと歩き出した。
逆の手にはお茶のペットボトルを持っている。
お昼の買い出しに出た帰りだったのだろう。
泣き顔を人に晒したくないので下を向いて、進行は熾雪に任せた。
しばらく歩いて人気のない教室に案内された。
「おせーぞ……あン？ 誰だ、ソイツ」
「……っ！？」
不機嫌な声がAに向かって誰何(すいか)した。
誰もいないと思っていたのに。
驚いて顔を上げるとかなりガラの悪い男子生徒がこちらを見据えていた。
第一声からして、熾雪と待ち合わせしていたような口振りだ。
男子の問いに熾雪は「Aちゃんだよ〜」と普通に答えた。
驚きと混乱で頭の処理が追いつかず、ひとまず涙に濡れた目をジャージの袖で拭った。
鮮明になった視界にもう一度男子生徒を映す。
(あれ？ どこかで見たことがあるような……)
熾雪はAの手を離し、椅子に腰掛けている男子の隣に立った。
手のひらを上にして彼に向ける。
「Aちゃん、爆豪勝己君だよ。私の彼氏」
「ばくご……っ、あっ、初めまして！」
そうだ、ヒーロー科の中でも特に問題ありと噂されている『爆豪勝己』だ。
そして轟から聞いていた熾雪の恋人。
「…………。お前が“A”か……」
「へっ！？」
足を組んで机に肘を置く爆豪はまっすぐにAを見ていた。
──否、睨みつけていた。
彼の言葉に敵意が感じられるのは、気のせいではないだろう。
しかしおかしい。
彼とは初対面のはず。
なぜ半目で睨まれているのか、Aには心当たりがなかった。
「ちょっと勝己君、Aちゃんを威嚇しないで」
「──チッ」
熾雪が咎めると、爆豪は舌打をして視線を外した。
「ごめんね、Aちゃ──って、ああ！」
「え！？」
「血っ！ 膝から血が出てるよ！！」
「え……？」
熾雪が指をさしたのはAの足。
見下ろすと両膝から血が流れ出ていて、靴下の一部を赤く染めていた。
「……あちゃー」
それどころじゃなくて気づかなかった。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
