個性とキス ページ31
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轟のにおいを感じて、かなり近い距離にいることを自覚した。
いや、体を支えているのだから近いのは当たり前なのだが……。
「と、轟君、立ってるの辛いよね？ 椅子に座りましょう。ね？」
「ん？ ……あぁ、分かった」
轟は何を言われてるのか分からない顔をしていたが、少しの間を置いて頷き椅子に腰掛けた。
「とりあえず湿布を貼っておくよ」
祖母は患部を保護するように湿布を貼付けた。
それから「よっこいせ」のかけ声とともに立ち上がった。
「じゃあA、轟の足を頼むよ」
「う、うん……っ」
「私はちょっと席を外すから」
「え……」
注射器の形をした杖を持ち、「何かあったらすぐに呼びな」と言って保健室を出ていってしまった。
(ちょ……、え！？)
轟と２人きりにされてしまった。
自分で判断して治癒しろということなのだろうか。
(まだ軽い怪我だから任せてくれた……？ ──ううん、怪我に軽いも重いもない)
目の前にいるのは助けを求める患者だ。
Aは轟に１歩近づいた。
「じゃあ……傷を癒しますね」
「頼む」
ここはリカバリーガルの『治癒』で治すのが得策だろう。
しかし、Aも年頃の女の子。
そして相手は好きな男の子。
戸惑わないはずがない。
(落ち着け、落ち着け。あ、あと本人に了承を得ておかないと……)
もし嫌なら右手の個性でできる限りの処置をしよう。
煩く響く心臓をなんとか押さえつけながら、恐る恐る口を開く。
「あ、あの、轟君。キス……こ、個性を使うためなんですけどっ、……しても良いですか？ 嫌なら右手の方で……」
「ん？ ああ、構わない。ちなみにキスはどこにするんだ？」
「私はいつも手にしますね」
手の甲だったり、手首の内側だったり。
傷がある場所には衛生的に問題があるので、手に傷を負った場合は腕にしていた。
「もしかしたらキスする場所に問題があるのかもしれねぇな」
「え？」
「体力うんぬんの話」
「そう……なんですかね？」
「場所を変えてみたらどうだ？」
──と、提案してきた。
たしかに手以外の部分に『治癒』の個性を使ったことはない。
一理あるかもしれない。
「じゃ、じゃあ患部に近い足首に……」
「いや、さすがにそれは背徳感が半端ねぇ」
「……ですよね」
「だから────」
ここに、と轟は自分の顔を指差した。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
