個性とキス２ ページ32
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自分の頬を指差す轟を見てAは固まっていた。
つまり、その麗しくも美しい端麗なお顔に自分の唇をくっつけろと？
(む、無理……っ！)
Aはくるりと背を向けて想像しかけたビジョンを振り払った。
鼓動が速まるどころか止まってしまう。
「A？」
「……っ！」
Aの不審な行動に轟は不思議な顔をしていた。
なぜそんなに平気でいられるのか。
(異性としてまったく意識されてないってことだよね……)
それはそれで悲しいものがある。
「悪ぃが、そろそろ足の痛みも我慢できなくなってきた……」
「え？ ああ、す、すみませんっ」
申し訳なさそうに言う轟に謝った。
湿布はしているが、痛みが引いているわけではない。
「ええっと、は、はい！ やります！！」
「頼む」
(あああ、でも心の準備が……っ)
右手を上げて宣誓するが、心臓の音がさっきと比べようがないほど響いている。
それでもやらなくてはと、意を決して轟の正面に立って両肩に手を置いた。
顔を左にずらしてくれたので、Aは右の頬に顔を近付けた。
緊張で震える。
触れている手からそれは轟に伝わっているだろう。
(ええい！ もうヤケだ！！)
唇に集中して個性を発動させた。
轟の顔がすぐ近くにあるのが耐えられなくて、思わず目を瞑る。
息を止めて頬に唇を寄せた────はずだった。
(……え？)
想像していたものよりも柔らかい感触。
頬ではないと瞬時に理解できた。
ならばどの部位？
思わず目を開けると、轟の顔が真正面を向いていた。
(な、なんで……私、頬にしようと……)
目を閉じていたので、ちゃんと位置を確認できていなかった。
気づかないうちにずれてしまっていたのだ。
轟も目を見開いて驚いた顔をしていた。
当然だろう、頬にするはずだったキスを唇にしていたのだから。
(私……っ、なんてことをっ)
「──ご、ごめんなさい……っ」
瞬間、Aは保健室を飛び出していた。
＊＊＊＊
轟はAの姿が消えていった廊下を茫然と見つめていた。
あんなにも酷かった足の腫れは引き、痛みは完全に消えていた。
重なった唇の感触を確かめるように指で触れる。
そして片手で顔を覆って俯いた。
「あーー……何してんだ、俺……」
誰もいない保健室で轟は呟いた。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
