□ 水難 ページ2
.
「……っくちッ」
「いっくしゅ……っ」
「ぶぇっくしょいっ！！」
「ふわ……っ、ふぁ……、………………あ、とまった」
朝、AがＡ組に顔を出せば、教室は様々な音で表現されるくしゃみで溢れていた。
「……みんなどうしたの？ 風邪？」
そういえば電話していた時、焦凍も鼻をすすっていたなと思い出した。
鼻水はまだ止まっていないらしい。
ポケットティッシュを手渡すと「悪ぃ」といって鼻をかんだ。
「あ……Aちゃん。あのね、昨日、ＵＳＪの水難エリアで救助訓練してたんよ」
鼻を赤くした麗日がこの有様について説明してくれた。
昨日の午後、ＵＳＪ──「ウソの災害や事故ルーム」の略称である施設にて、Ａ組は授業をしていたらしい。
そこの水難エリアで救助訓練をしていたところ、爆豪が緑谷にちょっかいを出して、救助どころか被害を拡大させてしまった。
架空の現場だが、本来なら取り返しのつかないことになっている。
原因を作った２人は、相澤にねちねちと説教をくらった。
怒られている２人は当然だが、他の生徒も水浸しで待たされていた。
早く体を乾かしたいなどと言い出せる雰囲気ではなく、そのまま放置されて数十分が過ぎた。
その結果がこの教室内の状況だった。
「……勝己君」
「ふン……っ、ウッセ」
爆豪はAの咎める視線から逃げるように目を逸らした。
鼻声だった。
「気持ちは分かるけどさ」
「分かるってなに！？ どういうことAさんっ」
「冗談だよ」
Aの発言に緑谷は掠れた声でつっこんだ。
どうやら彼は喉をやられたらしい。
爆豪の挑発にのせられてやりあってしまうところは、寮内謹慎をくらってもまだ健在だった。
「明日から連休だってのに……」
「寝て過ごすしかねーな、ずび……」
「ゲーセン行きて〜！ カラオケもしたふぁ……、は……っ、はっくしょいいっ」
巻き込まれた人たちは頭を抱えていたり、鼻をすすっていたり。
ゴミ箱には溢れんばかりのティッシュが詰め込まれていた。
「ご愁傷様……」
Aは様々な症状を抱えたＡ組の生徒に同情した。
八百万が個性で作るマスクがかなり好評だったので、Aも記念に１枚もらっておいた。
世間は土・日・月の３連休。
今日はその１日目。
雄英は土曜日も授業があるので実際は２日だけだが、その貴重な休みに万全な体調で挑めないのは少し哀想だと思った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1965人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華 - 作者さまが、書かれている小説はとても面白くキュンキュンさせてもらってます！イラストも完璧で！ところで、雪と炎のシンフォニー6のパスワード教えてもらえないでしょうか？？ (2018年8月24日 17時) (
レス) id: 8f943258c6 (このIDを非表示/違反報告)
蘭羅(プロフ) - いつも読ませていただいてます。作者さまが書いてくださってる爆豪くんがほんとに私の理想通りでキュンキュンが止まりません！(>_<)イラストも素敵です！これからも作品を楽しみにしています(^-^) (2018年8月13日 1時) (レス) id: 8f11b721e2 (このIDを非表示/違反報告)
瑠嘉#雅 - 続編楽しみにしてます。いつ投稿できそうですか？ (2018年8月9日 23時) (レス) id: bd7f78cad2 (このIDを非表示/違反報告)
四宮 - 回答して下さりありがとうございます！プロヒーロー編の先行公開も読ませていただきました！すっごく面白かったです！楽しみに待ってますね！ (2018年8月6日 23時) (レス) id: deef7ae511 (このIDを非表示/違反報告)
四宮 - いつも楽しく読ませていただいてます！あの、質問なんですけど、その6のプロヒーロー編って、書いていただけるんですよね？気になっちゃって笑すみません… (2018年8月6日 13時) (レス) id: 329a268fec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年7月7日 21時
