ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ23)

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０６◇読み飛ばしOK ページ23

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Aを襲った犯人は逮捕され、以降は活動歴なしのプロヒーローが狙われることはなくなった。

男の個性は『解錠(アンロック)』
鍵のかかったものを開ける能力。
ヒーロー協会のデータベースに侵入した犯人も彼だと断定され、相応の厳しい処分を受けることが決定した。

ヒーローになりたかった彼は、パワー系もしくは物理操作系の個性に憧れていたが、与えられた個性は地味なものだった。
いくら夢を語ってもヒーロー向きの個性がなければヒーローにはなれない。
無理して受けたヒーロー科でも仮免は取れず、結局は無駄な３年間を過ごした。

そして数年後、同窓会で顔を合わせた同級生が「今何してる？」という話題で盛り上がっていた時のこと。

「俺たちのクラスって、現役でヒーローやってるの２割くらいだよな」
「苦労してヒーロー免許とったのはいいけどよォ。正直言ってありゃキツイわ。俺も１年で辞めた。給料もイマイチだったし」
「わかる！俺も取ったはいいけど結局はサラリーマンやってるわ。ヒーロー免許も今は身分証明書がわりに使ってる。お店の人とかに見せたらすごい尊敬の目で見られるの気分いいよな！」

その会話を聞いた男は心の奥底から殺意が湧いてくるのを感じた。
憎い！！許せない！！
プロヒーロー免許を持っているにも関わらず、ヒーローとしての実績をあげない人間が存在するなんて。

俺は仮免すらも取得できなかったのに──……！！

男は決意した。
プロヒーローとしての力があるくせに役目を果たしていない、ふざけた人間をこの世から葬ってやると。
能力ばかり見て、ヒーローとしての自覚もない奴らに免許を与えた奴らに復讐してやろうと。

そしてヒーロー協会のデータベースに侵入し、該当する人物を探した。
復讐に身をやつした男は初めて自分の『個性』を役立てたのだった。

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