ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ22)

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　　　「……今のは俺のじゃねぇ」ページ22

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Aを抱えた爆豪は軽やかに地面に着地した。
その視線の先には子供たちを爆破から守るように氷壁を展開させた焦凍の姿。

一瞬で視界が氷になった子供たちはぽかんと地面に座り込んでいる。
２人の無事を確認した焦凍は鋭い目つきで振り向いた。

「オイ爆豪、いくら俺がいるからってむやみに爆破を使うな。子供たちを巻き込むところだったぞ」
「……今のは俺のじゃねぇ」
「は？」

爆豪は一切個性を使っていない。
ならばどうして爆破が？と焦凍は戸惑いを見せた。

「わああぁん！お父さ〜ん！」
「焦凍おじさ〜ん！！！」
「うおっ」

恐怖から解放された火月と勝凍が助けに現れた焦凍の足に抱きついた。
わあわあと泣きながら「怖かったよ〜」と涙を流す２人をなだめていたら、騒ぎを聞きつけた人間が集まってきた。

「焦凍！勝己君！」
「姉さん」

その中には冬美もいて、現状からしてただ事ではないことと弟と義弟の姿を見つけて慌てながら駆け寄ってきた。

「何があったの！？公園の方から爆発音が聞こえたからびっくりして……」
「Aがヴィランに襲われた」
「ヴィラン！？どこに？」
「そこで気絶してる。悪いけどこいつらを頼めるか」

爆破に巻き込まれた男は公園のど真ん中で倒れていた。
全身にやけどを負っており、意識が戻っても痛みでまともに動けないだろう。
轟は子供たちを冬美に任せ、犯人確保の報告のため警察に連絡を入れた。

「ママーっ！！」
「Aママ……痛い？」
「A、大丈夫！？血が出てるわよ！？」
「あぁうっせえ！！静かにしろっ」
「パパが一番うるさい」
「ふふ……」

爆豪に抱えらながらAは力なく笑った。

「大丈夫……。ちょっと……切られただけ。でも、麻痺性の毒が……」
「無理に喋んな」
「そうよ。とにかく救急車呼ぶわね！」

Aはスマホに番号を打ち込む冬美に、消え入りそうな声でありがとうと言って爆豪にもたれかかった。
目が半分閉じかけている。
精神的にも肉体的にも意識を保っているのが限界に近いのだろう。
「いいから寝てろ」と声をかければ、Aは頷いて安心しきったように目を閉じた。

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