ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ16)

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　　　「今日はやけにピリピリしてるじゃないか」ページ16

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そして週末。
これからパトロールだというのに、爆豪はイライラしていた。

(あンの女、結局行きやがったし……)

上鳴からの『Aちゃん、お預かりします。大丈夫！ちゃんと見張っとくから』というメールを眺めながら、怒りをあらわにする。

何度も「行くな」と説得したが、「もう約束しちゃったもん」と聞く耳を持たない。
芦戸と上鳴がいるからか、「大丈夫大丈夫！」とへらへら笑っていた。
まるで危機感がない。

いざとなったら個性でなんとかする、と言うので不意をついて組み敷いてやった。

体の至る所に赤いシルシをつけて、自分のものだと主張して。
Aは怒っていたが、無視して行為を続けた。

それでも合コンに行ったので、今晩はたっぷり灸を据えてやる。

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「今日はやけにピリピリしてるじゃないか、ダイナマイト」
「あ？ ……あー……、いや。……お疲れ様っす、エデュケイター」

声を掛けられて反射的に凄んだが、相手の顔を確認して少しだけ態度を改めた。
さすがの爆豪も、上司であり恋人の叔父には頭が上がらなかった。

「珍しいな、アンタが本部にいるの」
「いったん報告に。すぐに関西の支部に向かうさ」

彼はエンデヴァーと似た顔で穏やかに微笑んだ。

エデュケイター。
Aの叔父。

兄のエンデヴァーと同じ『炎』の個性だが、彼の活躍は別のところで発揮されている。
ヒーローとして敵と戦うというよりも、敵に対抗する戦力の増加。
つまり新たなヒーローの育成が彼の主だった活動だ。

爆豪も彼の指導のもとで力を伸ばしたプロヒーローの１人だった。

上司兼指導役だからと言って、爆豪が謙虚に振る舞うはずがない。
相変わらず社交性に欠いた態度をとっていた。

そんな爆豪も、エデュケイターがAの身内だと知った時はさすがに焦った。
彼からは将来的にＮｏ．１も夢じゃないと実力を認められていたので、印象を悪くすることはなかったが、生きた心地がしなかったというのは一生誰にも話すつもりはない。

「なんかあったのかい？」
「……Aが合コンに」
「んん？え、合コン？」

むすっとした顔で言えば、エデュケイターは困惑を見せた。
当然だ。
恋人がいるにもかかわらず『合コン』という言葉が、しかも爆豪から出てきたのだから。

「えっと２人は別れて……」
「ねぇわ！！」

爆豪は目を吊り上げて力いっぱい否定した。

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