ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ15)

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０４◆「どういう神経してんだ」ページ15

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６月の中旬、梅雨真っ只中。
Aは午前のみの授業で、爆豪は非番。
なのに外でデートをする気にもならない。

「そうだ。溜めてたドラマ消費しよ～」

あまりにも暇なので、Aは録画していたドラマを再生する。
爆豪はソファーに寝転びながら、ぽけーと流れる映像を眺めていた。

「この女優さん、可愛いよねぇ……、……んん？」

Aのスマホが震えた。
テレビからスマホに視線を移して、届いたメールに目を通していた。

「勝己君、今度の週末に合コンに行ってくるね」
「おぅ………………、あ゛あっ！？」

自然な流れで報告されたので爆豪は普通に返事した。
──が、頭の中で理解したところで、身を預けていたソファーから飛び起きた。

なんでもないようにスマホをいじるAを凝視する。
この女、とんでもないことを言い出したぞ……──と。

「おい、テメー今なんつった」
「だから、“合コン行ってくるね”って」
「“行ってくるね”じゃねーーよ！！どういう神経してんだ、あ゛ァ！？」

Aには爆豪勝己という恋人がいる。
その恋人に悪びれもせず堂々と合コン宣言をするAを咎めるのは、当然の行為だ。

「何も言わずに黙って行ったら怒るでしょ？」
「あたりめーだろ。っていうか行くこと自体ありえねーだろっ！」

Aをソファーに引っ張り上げて膝の上に乗せる。
逃がさないように両手を腰に回してホールドした。

爆豪の正論に、Aは「そうなんだけどね……」と困った顔をする。

「芦戸さんが人数が揃わないから助けてって」
「断れ」

覗き見たスマホの画面には、集合場所と時間が記されている。
送り主はたしかに見覚えのある人物だった。
黒目とピンク色しか印象にないが。

「いいじゃん、別に。えいっ」
「あ、オイ！」

爆豪が止める間もなく、Aは「分かった」と短くメールを返した。
送信完了画面を見て爆豪は目をつり上げる。

「……っ、てめー」
「大丈夫だよ。メンバーには上鳴君もいるみたいだし」

スマホを膝元に置いたAは腕の中で体を捻らせて爆豪を見上げた。
青筋を浮かべて睨みつけても、いつもと変わらない笑みを浮かべている。

「補欠のようなもんだよ。もし人数が揃わなかったらって話だから」
「……」
「ね？」

納得のいかない顔をする爆豪にAは甘えるように抱きつく。
さあ、この娘をどう説得しようか。

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