ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ9)

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　　　「余計なことはしないでね」ページ9

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「叔父さんだって、勝己君はすごく頑張ってるって言ってたでしょ？」
「うむ……まぁ、教児が言うなら間違いないが……」

──だからこそ、うちに欲しい。

そんな心の声が伝わってきた。

轟教児(きょうじ)、エンデヴァーの弟でありAと焦凍の叔父。
ヒーロー名は「エデュケイター」

ヒーロー活動支援協会の指導役として、駆け出しヒーローの教育をしている。
その手腕で次々と優秀なヒーローを育て上げ、彼の名前も世間に知れ渡るようになった。
今やヒーロー教育の第一人者と言われ、彼に師事したいというヒーロー志望者は多い。

Aと同期のヒーロー科の生徒も卒業後にここへ所属していた。
緑谷や焦凍は１年間の研修の後、希望の事務所に移ったが、爆豪はいまだに叔父のもとで実績を積んでいる。

「A」
「ん？」
「大学を卒業したらどうするつもりだ？」

Aも４回生になった。
そろそろ卒業後のことを考えなくてはいけない時期だ。

「どこかしらのヒーロー事務所に就職するつもりだよ。狙ってるのはベストジーニストさんのところ」

実は焦凍にも同じ質問をされたことがある。
そして同じように答えた。

「うちではダメなのか？」
「……身内と外は違うから」

その時の焦凍と同じ言葉が返ってきて、Aは吹き出しそうになった。

(焦凍に言ったら嫌な顔するだろうなぁ……)

「──あ、コネは要らないから。余計なことはしないでね」
「……そうか」

父親の顔を見たAは、彼が何を考えているのかを察して釘を刺した。
ベストジーニストが相手の場合、通用しないだろうが一応。

＊

チーズケーキがすべてAのお腹におさまった頃、父親の携帯に着信が入った。

「要請が来た。また犯罪者が街中で暴れ回っているらしい。……近いな」
「最近多いね～」
「A、今日はどこに帰るんだ？」
「ん？自分のマンションだけど？」

Aは大学と事務所の中間地点にある学生向けの賃貸マンションで、一人暮らしをしている。
実家から遠いので家から出ると言えば、父親にそこを指定されたのだ。

それなりに良いマンションで費用は父親持ち。
ありがたく住まわせてもらっている。

残業をした焦凍が泊まりにきたりするので、２人で使っているようなものだ。

「今日は焦凍に送ってもらえ。あまり出歩くなよ」
「うん、分かった」

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