ファンタジー D os (ページ6)

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S side

幼い頃に言われた。

家には代々吸血鬼の血筋が流れていると。

それは俺のひいひいひいひい…。とにかく大昔の先祖で。

もう俺の血には流れているかいないかも分からない位薄いから、影響はないとされていた。

確かに両親も言われなければ普通に人間だし、祖父母も至って普通だった。
俺が知ってる限りの親戚には誰も吸血鬼のような状態の人はいなかった。

でも万が一に備えて、1日に1錠抑制剤を飲むことを習慣づけられた。

それから特に、何も起こることもなく今に至る。

何か血に反応するとか、運動神経が無駄にいいとか。そんなことは全く無くて。
むしろ運動神経は悪いほうだし。

だから大丈夫だって。俺は普通の人間だって。そう思ったんだよ。

ある日、抑制剤をいつも通り取り寄せようとしたら珍しく在庫切れで。

いつもは余裕を持って取ってたんだけど、その時期は海外に行ったりと少し多忙なスケジュールだったからなかなかタイミングが無かった。

このままじゃ再入荷は1週間以上かかる見込みだと。

その時はまぁ、しょうがないかー。ぐらいのテンションで。

まぁ、飲まなくったって大丈夫だろうと。

でも、突然やってきためまい。
元々貧血なんて起こさないタイプで。流石に焦った。

もう気づいた時には倒れてて。だんだん視界がチカチカしてきて…。

「さ…とし…くん…」

気づいたら貴方を呼んでた。

貴方に抱き抱えられ楽屋へ。

途端に感じる、智くんの匂いに。

ドクン…。

俺の奥の何かが蠢き始めた…。