死にたくないので足掻きます。４【キミガシネ】

１５３話「解毒薬」 ページ7

ソウside

ボクは、Aの名前を呼びながら壁をガンガン殴っているカンナをたしなめつつ、絶望しながら俯いているAの背中を見ていた。


ボク達の方からAの顔を見る事は出来ないけれど、Aはカウントダウンの音声を聞いて既に諦めてしまっている。


ソ「.........A！！！諦めるな！！！」


『...！！』


ボクは気付いたらAに向かって叫んでいた。
勇気付けたかったのかもしれない...。


毒矢が３本連続で刺さって、直後A達は床に雑に落とされた。
ギンくんはいち早くAに駆け寄って行って、ボク達も目の前を立ち塞ぐ壁が消えるとAの所に向かった。


カ「Aさんっ...！！」


ソ「返事しなよ...A...！」


声をかけても反応は全く返ってこない。


ケ「Aちゃん、耐えるんだ...！
っ...この進行具合だと、解毒薬を取ってくるよりもAちゃんを運んだ方が早いね。」


Aの状態を確認すると、ケイジはAを腕に抱えて医務室に走って行った。
......Aの事も持ち上げられない自分の細腕を今日ほど恨む日は無いだろう。


カ「...さん！ソウさん！！」


ソ「っ...！」


カ「カンナ達も医務室に行きましょう！」


ソ「そ、そうだね。」


カンナに言われるまで俯いていたみたい。
ボク達もケイジを追いかけて医務室に向かう事にする。
その間に鑑賞室にいたサラ達も下に戻って来た。


サ「っ......Aさん。」


思わずサラを睨み付けてしまってもしょうがないと思う。
だって...Aの事を...見殺しにしたんだ。


.


.


.



医務室に着けばAはケイジによってソファーに寝かされていて、ケイジは解毒薬を取り出していた。


ケ「ソウ...カンナちゃん...。
どうやらこの解毒薬、内服薬みたいでねー。
飲ませるにも...Aちゃんのこの状態じゃね...。」


何をグズグズしてるのさ、こうしてる間にもAの命の灯火は消えつつあるのに！！


ソ「ボクに渡して！！」


ケイジの手から薬を奪って、解毒薬を自分の口に含み、Aの口へ直接流し込んだ。


Aが飲めないんだったら、飲ませるしか...ない。
これは...医療行為だ。
ボクは自分に言い聞かせた。


喉がコクリと動いたのを確認して、無事に飲めたのだとホッとした。


ボクがここまでしたんだ...。
また、ボクの隣に戻って来なよ...A。
まだ、キミの事も知れてないし...ボクの事も話せてないんだから...。

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