１５８度 ページ44
「何？」
Aの静かな言葉にリオンは眉を顰めた。
「ウルさんを、生きているって。認められないのも。ぶつけられない怒りも。目標を失った失踪感も。わかる。」
真っ直ぐに向けられる青空の蒼の瞳。緩やかな魔力に飲まれそうになるのを感じながらもリオンは目を逸らせなくなった。
「それでも、」
優しい声が言葉を紡ぐ。
「あの怪物を倒して…、それでウルさんを越せると本当に思っているの？」
一瞬。言葉を失う。グレイもそれを感じた。リオンは数秒言葉を失ったが直ぐに言葉を返した。
「…当たり前だ。唯一ウルでも倒せなかったデリオラ。アレを倒す事によって、オレは念願の目標を達成できるんだ。」
「っ、」
その瞬間、Aの横から弾けるようにグレイが飛び出した。
それはAでさえ認識するのが困難なほど素早く、鋭く。そして思いきりリオンを殴り飛ばした。
「なっ…、バカな！そのキズでなぜ動ける！？」
リオンは驚愕の瞳でグレイの傷を見た。グレイの傷はほぼ塞がっていた。パッとAを見ると薄く笑っているA。
そういえばあの女は治癒能力を持っていた。Aの治癒能力の高さがうかがえる。
「限界だ……。」
「あ！？」
「助けてやりたかったがもう限界だ。 」
ゆっくりと顔を上げたグレイの黒曜石の瞳は、静かに揺れていた。Aの言葉は空を切る。初めて見た。あそこまで怒りに狂っているグレイを見るのは。それにとてつもない恐怖を感じた。
そして素早く氷の造形魔法の弓を作り、リオンに向かって放つ。リオンはその素早さに反応しきれずすべて喰らった。そして、グレイは立て続けにリオンに攻撃をしていく。
この間の戦闘は驚愕で真がブれ、魔力のバランスも不安定で、何よりも本気で勝ちに行けてなかった。そう、これが本来のグレイの力。
「がっ…は！！このオレが、グレイごときに血を流すなど…あってはならんのだ！！」
リオンはふらつきながらも壁に手を付き、 氷造形“白竜”を造る。 グレイはよけきれず、攻撃を食らうと地面に倒れた。
「無駄な魔力は使わせんでほしいな…オレは、この後デリオラとの一戦を控えてるんでな」
「させるかよ…」
二人は肩で呼吸しながら尚立ち上がろうとする。グレイにリオンは、どうあがこうとデリオラは間もなく復活する。と嘲笑う。が、そんなリオンをグレイは鼻で笑い返す。
「ナツをナメんなよ。」
そう笑った横顔は何処か嬉しそうで力強かった。
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海姫(プロフ) - ウェンディさん» ウェンディさん！ コメントたくさんありがとうございます！ 更新頑張ります！ (2015年12月2日 1時) (
レス) id: d87b6866b9 (このIDを非表示/違反報告)
ウェンディ - やっぱりとっても面白いです！頑張ってください！ (2015年8月13日 19時) (レス) id: 0edb64df0f (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - あ！また、続編の方でお話しましょう！^^ (2014年6月11日 0時) (レス) id: 32c872097c (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 本当ですか！！///凄く嬉しいぜす！^^ありがとうございます！ (2014年6月11日 0時) (レス) id: 32c872097c (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - レインさん» いやいや！レインって名前も素敵です！私雨が好きなんでレインってとっても素敵だと思いますよ！レインさんに応援してもらえて私嬉しいです！ (2014年6月10日 21時) (レス) id: ab7ccb80bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海姫 | 作成日時：2014年1月6日 18時
