【gttb】赤猫の君Ⅱ【ｲ建康鯖】 (ページ17)

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青鬼ではない貴方ページ17

こんそめさんが先程座っていた椅子に腰掛けたらっだぁさん。2人きりのまま沈黙が流れた。

『らっだぁさん。』

声をかけると彼は顔を上げる。
隈ができ、少し青白くなったその顔は、気怠い笑顔は微塵も残っていなかった。

rd「………ごめん。俺のせいで君は怖い思いをしてばっかりの人生になってる…ずっと前世を引きずってる俺のわがままで。君は…覚えてるはずないのに。」

そう、最初から気になっていたのだ。彼が最初、島で出会った時に言っていた"前世の記憶"という物。

『…前世の私はどんな物だったのですか？』
rd「面白い話じゃないよ？全部真っ暗な記憶ばっかりのつまらない話だけど。」

私はらっだぁさんの深い青の瞳を見つめながら頷いた。

rd「……君は家の近くの公園の野良猫だったんだ。真っ赤な毛と緑の瞳の雌猫のソマリって言う種類の猫。

俺と君が出会ったのは小学生ぐらいの頃で…俺の家庭環境はまぁ…良いとは言えなかった。そんな時に公園でばったり会っただけ。辛い時もずっと側にいてくれて、楽しい時は公園で君と遊んだり日向ぼっこする時だけだった。
そんで…まぁ親に公園で君と遊んでるのがバレて、君は親に殺されちゃって。………俺はその後、小学校の教師になって、そこからの記憶が曖昧なんだ。実際覚えているのは君のことだけ。

気付いたら、無限の命を持った青鬼って化け物になってた」

そう語るらっだぁさんの瞳は黒く濁っていた。

『………私には…記憶にありません。』
rd「うん。」
『ですが、それが本当に私の魂ならば、決して貴方のせいで死んだ、なんて思っていません。恨んでもいません。…これだけは確信があります。』
rd「え、」

らっだぁさんは目を見開きバッとこっちを見る。
だって、猫は人の殺意に敏感だ。親の殺意にもおそらく気付いていたのだろう。それでも前世の彼と一緒に居たのなら多分私の前世とされた猫は殺されても構わないから一緒に居たい程、彼の事が大好きだったのだ。
………だから。

『先程は、短剣をむけてしまってごめんなさい。
…らっだぁさんが嫌じゃなければ、また私とお友達になってくれませんか？』

rd「……マリは…嫌じゃないの？無理とかじゃ、ない？」
『はい。』
rd「これ、夢…？」
『夢じゃないですよ。』

らっだぁさんは少し俯き考えた後、顔を上げ笑った。

rd「振り出しに戻っちゃったけど…友達、なります。

よろしくね、マリ。」

その顔には、思い詰めた影など微塵も感じなかった。