七話 ページ7
あ、帰ってきた。そう言った相川さんは玄関の方を見た。
俺も自然とそっちを向く。そしてリビングの扉が開かれる。そこに居たのは相川さんとはまた違ったイケメンだった。
類は友を呼ぶ。イケメンの周りにはイケメンしかいないというわけだ。
「おかえりなさい!そらるさん、最後の一人決まりました!」
こちら椎名要さんです、といって俺の方を向く。
視線を感じて妙に緊張しながらイケメンの方を向いてしっかり自己紹介した。
「椎名要です。相川さんに勧誘されて住むことになりました。よろしくお願いします」
「…………うん、こちらこそよろしく。一ノ瀬彼方です」
何故だろう。どこかで聞いたことがある名前だ。
聞いたことがあるのに思い出せない。駄目だ老化がだいぶ進んでる。物忘れが激しくなった。
顎に手を当て首をかしげながら彼方を凝視する要。そんな要を疑問に思ったのか真冬が横から口を出した。
「要さん、どうしたんですか?」
「いや、少し…すみません一ノ瀬さん。どこかでお会いしました?」
そう聞いた俺に目を見開く相川さん。だが目の前の一ノ瀬さんはピクリとも動かずに口を開いた。
「うん、会ってるよ。昔ね」
「………」
「ええ、奇跡じゃないですか!」
横で騒ぐ相川さんを横目に俺は一ノ瀬さんを見つめた。あっちも見つめていて目と目が合う。
誰だ。記憶の中に一ノ瀬彼方という人物はいない。
だが相手は俺を知っている。
なんだかあまりいい気分ではないなと思いながら目をそらした。何かを察したのか相川さんが一ノ瀬さんに声をかける。
内容的にきっと仕事のことだろう。俺には関係ない。
今ならいいだろうと思って、俺は立ち上がりキッチンに移動した。さっきから空腹で死にそうだ。何でもいいから何か食べたい。
適当になにか作ろうと思って冷蔵庫を開ける。必要なものを取り敢えず出して袖をまくった。
手を洗って道具を出して、そこでちらりと二人の方を見る。
まだ話しているようで俺がキッチンにいることは気づいていないらしかった。まあ今日から住民なわけだし適当に作ってもいいだろう。
何か言われるかもしれないが今はそれどころではない。意識を再度手元に戻し、料理に集中した。
「ねえ、まふまふお前さ…やばいね」
「言ったでしょう。やると決めたら僕はやりますよ」
「ふぅん…まあいいけど。俺は俺でやるから」
「わかってます。僕だってとっくに本気です」
・
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いおり - あ、あの…完結なんですか?そうじゃないことを祈りたい…。更新していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。 (2020年7月5日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すっごい面白かったです!!これから夢主くんがどんな風に幸せになるのか、気になります!!!更新、頑張ってください。待ってます!! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
どーる(プロフ) - FRISKさん» いっぱいちゅきになってください(はーと) (2018年3月23日 18時) (レス) id: b65a035319 (このIDを非表示/違反報告)
FRISK - や、やだ、好き← (2018年3月23日 18時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
どーる(プロフ) - 風音迷夜さん» 帰ってきましたよ!!受験が無事終わりましたのでこれからは最新頑張ります!ほんと応援してくださってありがとうございます…! (2018年3月22日 20時) (レス) id: b65a035319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どーる | 作成日時:2017年9月28日 0時