守るべき秘密 4 ページ21
「あなたがマーレの力を使って我々の行動を読み、彼女たちを逃したのはわかっています」
僕の少し先で、その足音が止まる。
その青い目は暗闇の中、この世の全てに飽いたような蔑みの瞳で僕を射抜いている。
白蘭「…キミ、女の子でしょ」
話をはぐらかすようにわざとそう言った。
隠しきれない骨格の差を見て察した事実を僕は相手に突きつけてみせる。
男装の理由は知らないが、少しでも動揺してくれれば御の字だ。
白蘭「僕の知人に男装の得意な子がいてね。
お陰様で、そういうフリしてる人ってなんとなくわかるんだ」
「……花村Aさんですね」
白蘭「！！！」
出されると思っていなかった彼女の名前に、僕は思わず目を見開いて…目の前の相手を睨みつけた。
僕のもっとも守りたい彼女。
誰にも知られてはいけない秘密の存在。
その少女を、目の前の人間は知っている…狙っている。
白蘭「彼女の情報は絶対に君たちにわからないようにしたはずだよ」
「…残念でしたね。あなたは彼女を我々から守るためにわざわざ日本へ渡ることを選んだのに。」
白蘭「！…フフ、そこまで知られてるなんて参っちゃうなぁ
よければ後学のために、どうやって僕を出し抜いたのか教えてくれない？」
動揺しながらも、それに反比例するようににこやかに僕は情報を集めようとする。
しかしそれに返ってきたのは、理解できない答え。
「なんてことはないですよ。
ただ…僕の方があなたより、彼女と古い付き合いがあっただけ。」
白蘭「…？」
彼女の瞳の色が、変わる。
憧れに輝いたようにも、怒りに近い感情に燃え上がったようにも見えたその青に目を奪われると同時に
白蘭「…っ、ぐっ…！！？」
突如、僕の体に重い空気の塊が乗っかった。
白蘭(これは…大地属性の…)
なぜ目の前の人物がそんな炎を使えるのか。
それを考える前に地面に叩きつけられた僕は、息が吸えなくなった口を固く結び、酸欠になっていく脳に意識を遠のかせる。
「…大丈夫。
死ぬのって案外怖くないですよ。
意味深なその言葉を最後に、僕の意識はそこで途切れた。
・
「…。」
横たわった青年を前に、少女は黒髪のウィッグを取る。
その下からは長い栗色の髪がこぼれ落ちた。
「捕まえましたよ。連れて行ってください」
遅れてやってきた部下にそう告げると、少女はくるりと踵を返し、再び闇の中へと消えて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっく(プロフ) - ようやく3に行きます！最近放置しすぎてたのでもう殿堂入りは無理かなと思いつつ更新していたら、なんとすごく評価の投票数が伸びました…みなさんのおかげです！コメント下さった方、お気に入り登録して下さった方もありがとうございます！ (2019年3月13日 17時) (
レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - さむらさん» 本当にお久しぶりですー！更新遅くなってすみませんでした。3月はまだ更新できますので、引き続きお待ちください！ (2019年3月13日 16時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 槻藤 都咲さん» お返事が遅くなってすみません！初めから読んで下さったのですね、本当にありがとうございます！またぼちぼち連載しているのでまたお暇な時にでも読みに来てくださいね。 (2019年3月13日 16時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
さむら - 久々の大量更新嬉しいです！！ありがとうございます！！ (2019年3月10日 17時) (レス) id: 1357e2988b (このIDを非表示/違反報告)
槻藤 都咲(プロフ) - 1話から見させてもらってますが凄く良い作品ですね。 (2019年2月14日 2時) (レス) id: f4cb8543e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2018年10月21日 14時
