すれ違いはもう終わり？ 8 ページ17
気づいてなかったのは本人たちだけ。
なんとも滑稽な話だ。
9代目が頑なにオレを婚約者に推した理由もようやく合点がいった。
ベル「…焦らせんなっての」
貴「ん？お、い…」
急に肩に頭を預けられて、また動揺しながらも私はされるがままになる。
前より少し大きくなった背丈に気付きながら、私は身動きも取れず、エレベーターの階数が増えていくのを無意識に目で追っていた。
ベル「黙ってたからって嫌いになるなよ。」
黙ってたというのはきっと、私たちが両想いだったことだろう。
『なぜ言ってくれなかったのか』なんて非難するつもりは毛頭ない。
きっとベルはベルなりの、みんなにはみんななりの想いがあってずっと私達を見守っていてくれたんだろうから…それを責めるつもりは毛頭ないんだ。
貴「嫌いになんかならねーよ。」
恋の痛みを知った私にとって、私とツナの距離をずっとヤキモキしながら見ていたベルの気持ちは想像に難くない。
私に告白を断られながら、両想いになりそうなのを見ながら、好きでい続けてくれるその強さを卑怯だとは思わなかった。
ベル「なら、沢田を振った記念にこのまま王子にしちまえよ」
貴「記念ってなんだよ…。
今はそれどころじゃねーし遠慮しとく」
ベル「なら、今回の件が終わったらちゃんと改めて考えとけよ。」
貴「ちゃんと考えた結果、いつも振ってるんだけどな。」
ベル「…王子に言い寄られて断るとか生意気すぎだっつの。」
ベルが少し不機嫌になったところで、エレベーターが到着した音がする。
この階のスーパースイートルームなら遊びに来たこともあるし、ベルも9代目たちに会いたくはないだろうから、案内はここまででいいだろう。
そう察した私はベルを離して外へと歩き出す。
貴「ここまでありがとう、ベ…」
「ル」と名前を呼ぶ前に、後ろから腕が伸びたかと思うと、それは思いっきり私を背後から抱きしめた。
驚きに振り返る間も無く、ショートヘアから覗く首筋に柔らかな感触が触れる。
貴「うひぁっ！？」
パッと離れて、エレベーターから出ながらキスされた首筋をガードするように手を当てる。
箱のなかに残った王子様は満足げに白い歯を負けて笑うと、ひらひら手を振りながらボタンを押した。
ベル「ししっ♪じゃあな、A
あとでうちのボスのところにも遊びに来いよ」
それだけ言うと、オレの文句から逃げるようにベルはエレベーターの扉を閉じたのだった。
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らっく(プロフ) - ようやく3に行きます！最近放置しすぎてたのでもう殿堂入りは無理かなと思いつつ更新していたら、なんとすごく評価の投票数が伸びました…みなさんのおかげです！コメント下さった方、お気に入り登録して下さった方もありがとうございます！ (2019年3月13日 17時) (
レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - さむらさん» 本当にお久しぶりですー！更新遅くなってすみませんでした。3月はまだ更新できますので、引き続きお待ちください！ (2019年3月13日 16時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 槻藤 都咲さん» お返事が遅くなってすみません！初めから読んで下さったのですね、本当にありがとうございます！またぼちぼち連載しているのでまたお暇な時にでも読みに来てくださいね。 (2019年3月13日 16時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
さむら - 久々の大量更新嬉しいです！！ありがとうございます！！ (2019年3月10日 17時) (レス) id: 1357e2988b (このIDを非表示/違反報告)
槻藤 都咲(プロフ) - 1話から見させてもらってますが凄く良い作品ですね。 (2019年2月14日 2時) (レス) id: f4cb8543e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年10月21日 14時
