虹と星と夜と 3 ページ5
貴「こんな仕事でも十分お金は稼げてます。
それに、これ以上売れっ子になっちまったら体がいくつあっても足りませんよ。
今回だってイタリアまで呼び出されてクタクタなのに。」
殺しはしたくない。
でも暗殺部隊のボスを相手に『殺しはいけないことだ』などと噛みつくほどアホでもない。
だから遠回しに煙に撒くような答え方をしてみれば、XANXUSさんはその意を汲みながらも話を合わせた。
ザン「アジア圏の仕事ばかり受けてテメェが東洋在住だっつーことが特定されてもいいんだな」
貴「う…嫌です。」
膝の上に乗せたウィッグを優しく触る。
男装、女装、カラーコンタクトにカツラ。
時には変声機や上げ底を使ってまで身分を隠すのは、大切な日常を守るためだ。
自分のせいでツナたちが危険に晒されることなんてあってはならない。
貴「でも、あんまり頻繁にこっち側に呼ぶのもやめてくださいよ。飛行機に乗るのは疲れるし、夜の炎での移動はもっと疲れるんです」
一度、代理戦争で星の炎を失ったオレはその後から続けているリボーンさんたちとの修行のおかげで、ずいぶんと炎圧を取り戻しまたワープができるようになっていた
とは言っても、夜の炎は消費が激しいし、国境を往復移動するために使ってしまえば任務が終わるまでもう一度使用することはほとんどできないんだけれど。
ザン「テメェの都合なんざ知るか。
用が終わったなら消えろ」
バッと放られた飛行機のチケットを受け取り、3時間後の搭乗時間が記されたそれを緩く折りたたんでポケットにしまう。
貴「ありがとうございます。
またのご依頼をお待ちしてます。」
ザン「…フン。」
背を向けてさっさと去っていくXANXUSさん。
いつもならなんだかんだと彼を迎えに来た車がオレを空港まで乗せていってくれるのに、今回それをしないのは、この人はこれからオレが何をするか分かっているからだろう。
オレはベンチから腰を上げ、もう一度ウィッグを被り直す。
耳からいまだ聞こえ続ける男たちの声に一つ、かつてのパートナーの泣き叫ぶ声が混じり始めたのを確認しながらもと来た道を歩きはじめた。
裏切られたとしても、見知った人間をやすやすと見殺しにはできない。
タダ働きにはなるが、あの男に払った賃金を返金させれば元は取れるだろう。
貴「さあ…やるか」
懐の銃をスーツの上から触って、オレは歩き出す。
明日もまた、ツナたちと笑顔で顔を合わせられる『私』であるために。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっく(プロフ) - オハオハ＃さん» 初めまして、コメントありがとうございます。とんでもございません、まだまだ拙いところがたくさんありますが、これからも文章力を磨けるように頑張っていきます！オハオハ#さんも頑張ってくださいね！ (2018年10月19日 10時) (
レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - まおさん» こにちは、コメントありがとうございます！Twitterフォローしてくださってるんですね。なるべく鍵アカのほうでフォロバしてるつもりですができていなければお声がけくださいね。応援ありがとうございました！ (2018年10月19日 9時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
オハオハ＃ - とても面白いです。高評価させていただきました。私も今日初めてリボーンの小説を投稿しましたが私より文章力があってうらやましいです！これからも更新頑張ってください。 (2018年10月15日 20時) (レス) id: c0c82837f5 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - こんにちは(^○^)らっくさんの作品は最初から今まで楽しく読ませていただいています。これからも、更新頑張って下さい＼(^-^)／応援しています。ちなみにTwitter藻、フォローさせていただいています。 (2018年10月15日 11時) (レス) id: ced873899f (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 評価・お気に入り登録増えてて嬉しいです！最近はお気に入り作者にも登録してくださる方が増えてウキウキです〜ありがとうございます〜！ (2018年10月14日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2018年9月8日 18時
