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◎むらかみさん


―――――3コールほど電話を鳴らすと、聞こえてきたのは懐かしい声。

鼓動が速まるのを感じ、
俺は平静を装って話し出した。



「もしもし、晴人か?」

『うん…。どなたさま?』

「俺。村上や。」

『やっぱり。声聞いたらすぐにわかったよ。』

「じゃあなんでどなたさまって聞いてん。」

『念のため。確認やん。』



久しぶりに聞いた晴人の声。
思っていたよりも、元気そうで安心した。
なんかちょっと照れ臭くなった俺は、なんでもない世間話を始める。



「ヒルナン見てくれとるんか?」

『ううん。見てない。でもたちょが言ってたから知ってる。』



どうやら、今の晴人の情報源は主に大倉だそうで。
週に一度は大倉から電話がかかってきて、最近は辟易としているそうだ。



「今の家はテレビあんの?」

『ううん。ないよ。でもパソコンはあるからDVDは見れる。』

「何見てんの?」

『何も見てない。そもそもDVDこっちに持ってきてないし。』

「見てないんかい。」


俺がそう言うと、晴人は電話口でふふっと笑う。
久しぶりに信ちゃんにつっこまれたわ、なんて言って喜んでいる。

そんな晴人が少しかわいいなと思ったり、
思わなかったり。




「お前、暇ちゃうんけ?」

『暇じゃないよ。昼寝したりギター弾いたり向かいのおばちゃんと喋ったり、やることいっぱい』




テレビもないしDVDも見てない。
晴人はほんまに東京の端っこで、何にも囲まれない田舎暮らしを送っているようだった。







『この前な、淳太と照史に会ってん。』

「おーそうか。松竹行ったん?」

『うん。スタッフさんにめちゃくちゃ変装させられた。サングラスとーマスクとー帽子とーあとね、』

「もうええもうええ。とりあえずすごい格好やってんな。」

『そう。あれは逆に目立ってた気がする。』



晴人がジュニアに会いに行った話はヨコから聞いていた。どうやら中間が、ヨコに連絡を入れてくれたらしい。


晴人は落ち着いた様子でその日のことを話し出した。

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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜! (2021年1月30日 17時) (レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です!とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました!無理のないペースで、更新楽しみにしていますね! (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さざ波 | 作成日時:2021年1月23日 1時

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